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風俗は「万引きよりも金になる」

 その後、万引きより自分の体を使うほうが簡単に金を稼げると気づいた彼女は、1万円の対価としておじさんに体をもてあそばれることもまったく苦ではなかった。

 中学生になると、テレクラや2ショットチャンネルなどで相手を探しては体を売った。稼ぎは月に約50万円。辞める理由がなかった。  

 高校に進学はしたが1年で中退。迷うことなくデリヘルに籍を置いた。

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写真はイメージです ©iStock.com

「最初は全然稼げなかったんです。月に10万円ぐらいでした」

 店を替えようと考えていたころ、ホストの男からナンパされた。その男と付き合うようになり、彼が探してくれたデリヘルで働きだすと、それまでとは打って変わって客がつき、月収は100万円を超えた。それを待っていたかのように男はホストを辞め、ヒモになった。

「基本、毎日パチンコです。あるとき、いきなり投資をやると言いだして、私の稼いだお金をFXにぶち込んだんです。一瞬で240万円が飛びました。それでも、その人のことが好きだったから、もっと稼がなきゃと思って必死に働いていましたね」

 フーミンはさらに収入を増やすため、デリヘルから吉原の高級ソープに移った。ちょうどそのころ、ヒモの男と籍を入れた。

「結婚したら変わってくれるかと思ったんですけど、まったくでしたね。暴力がひどくて、これは無理だなと。籍を入れて半年ぐらいで離婚を切り出しました。最初は、『嫌だ』と言われましたけど、ある日聞いてもいないのに『おまえのために離婚してやる』と言うんです。ピンときて、こっそり携帯を見たら、ほかの女との間に子どもまでつくっていました。それで晴れて離婚できたんです」

 離婚後もソープで働いていたフーミンだが、そこで前夫とは正反対の男性と出会った。

「お店のお客さんだったんですけど、ものすごくやさしい人で、彼とはほとんど喧嘩もしたことがなかった。神様みたいな存在だったんです。3年ぐらい付き合って母親にも紹介しましたし、結婚する予定でした」

 精神的にも安定した日々が続き、ソープの仕事も辞めた。やりたいことが見つかったのだ。積み上げた預金から300万円ほどを引き出して、2020年秋、フーミンは小さな韓国料理店を開いた。

 当然ながら、界隈の飲食店の集まりのなかでは前職のことは隠している。