ヤンキーに愛された「ジャンボカット」
それはジャンボ尾崎の「ジャンボカット」です。トップやサイドの短さに対して、襟足が長いのが特徴です。
僕が参照した写真での90年代のジャンボ氏は、サイドは短いものの、刈上げとは呼ばないくらいの長さでした。一般的な「ジャンボカット」のイメージ的には、もっとサイドを短く刈り上げているスタイルとして浸透しています。
ちなみに襟足の長さは、ゴルフ中の「首の日除け」効果を狙っていたそうです。そんな、ゴルフに集中できるヘアスタイルとして開発されたであろう「ジャンボカット」ですが、彼自身の破天荒な人柄もあってか、90年代以降、これが“ワル”のヘアスタイルの代名詞として広まっていました。
“子供にジャンボカット”現象
僕が少年期の90年代後半~00年代、地元埼玉では、なぜかヤンキーの子供は「ジャンボカット」にする現象がありました(髪を明るく染めている子も多かったです)。
この文化が全国区かどうかは分かりません。ですが、少なくとも当時の北関東には、“子供にジャンボカット”現象は、確実に不良カルチャーとして根付いていたと思います。
では、なぜジャンボカットは不良に愛されたのか?
悪を体現した漢、天山広吉
ジャンボカットの延長線上には、確実に天山広吉がいます。
【天山広吉】プロレスラー。90~00年代には数々のタイトルを獲得するなど、華々しい経歴を持ちます。荒々しいファイトスタイルや啖呵を切るような言動、そして何しろこの強面です。不良も憧れるわけです。
彼の最大の特徴は、ヒール(悪役)を象徴する見た目です。サイドを短く刈り込んだ「ツーブロック」と長い「襟足」、そしてラインをなぞる金髪。これはジャンボカットの派生版と言わざるを得ません。
不良っぽさ、ワルっぽさはこの“天山ヘア”の影響を強く感じます。当時の“子供のジャンボカット”も、この見た目に近い印象です。
90~00年代初めまでは、試合がテレビのゴールデンタイムで放送されていたこともあり、彼のビジュアルは全国区で知られていたはずです。
実際のところ、時系列的に“天山ヘア”が先か、後かは分かりませんが、[サイドのツーブロック + 襟足長め]はワルっぽく見えやすく、学校が取り締まりたかった「ツーブロック“ヘア”」はこちらだった可能性があるのではないでしょうか。