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私生活も野球漬け、草野球チームを複数持っていた

 球場にも熱心に足を運んだ。特に、あぶさんが所属する設定のホークスでは、ロッカーも“顔パス”だったという。『あぶさん』に描かれたこともある野球評論家の江本孟紀氏が語る。

「特徴ある選手ということで純粋に興味を持たれたのか、野村克也さんをジッと眺めておられました。81年、私の『ベンチがアホやから』の騒動の時には、先生のサイン入りグラブを『アホ』いうてスタンドに投げ入れてしまったんだけど、その時のことを謝りたい」

 私生活も野球漬け。草野球チームを複数持っていた。20年ほど前に共にプレーした野球仲間が明かす。

「年80試合をこなし、スローイングは“ミスター”を髣髴とさせた。お酒は飲みませんでしたが、飲み会では同席のパンチョ伊東さん(元パ・リーグ広報部長)をイジって場を和ませていた」

 ライバルチームに初勝利した際は「勝ったぞー!」と飛び跳ね、少年のように大喜びしたという。

ホークスの王貞治会長と

社会人野球を舞台にした漫画を検討していたが…

 2020年末に漫画家引退を表明。漫画家仲間の里中満智子氏は言う。

「仲間同士で『気持ちが変わって、また復帰してくれたら嬉しいね』と話していました。水島先生は、野球は各々が役割をしっかり果たすことで絆が生まれ、それが勝利を生むということを表現しました。野球を楽しむ少年たちにも大きな影響があったと思います」

 実は水島氏は、ある構想を練りながら“現役続行”も模索していたという。

「『ドカベン』は高校野球、『あぶさん』はプロ野球を舞台にしていましたが、今度は社会人野球を舞台にした漫画を検討していたんです。が、その作品は残念ながら世に出ることはなかった」(元担当編集者)

 野球狂一代男の描いた物語は、個性的な登場人物たちとともに生き続ける。

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