「警察が少年への暴力を認めなかったら、前回以上に暴れてやる」
1月28日深夜、沖縄警察署前で隊列を組み、歩道を封鎖する機動隊を睨みつけながら、少女が息巻いた。
前日の1月27日深夜、沖縄署の前には数百人の若者が集まり、署に向かって投石したり、関係車両のフロントガラスを破壊するなどの暴動が起きていた。暴動のきっかけは、27日未明に起きた17歳の少年と警察官のトラブルとされる。
沖縄署は、市内の路上で暴走行為を取り締まっていた警察官が、バイクを運転していた少年に職務質問しようと制止を呼びかけたところ、警察官がバイクと接触し怪我を負ったと発表。また、少年は単独事故により怪我をしたとの認識を示し、地元メディアがこの件を報道した。
「まるで『東京卍リベンジャーズ』の世界観だった」
しかし、その後「高校生が警察官に警棒で殴られた」「警察は事故として処理し、事実を隠蔽している」といった情報がSNSを通じて拡散され、少年の同級生らが警察署前に集結。一時は500人近い若者が集まったという。
庁舎に向かって卵や石を投げたという少年は「怪我をした少年とは一緒にバイクで走ったことがある間柄。冗談もうまく、誰にでも気さくで人気者だった。知り合いはみんな『警棒で殴られて怪我をした』と言っていている。まずいことをしているという意識よりも怒りが込み上げた」と振り返る。
別の少年も興奮気味に述懐する。
「怪我をした彼と面識はないが、知り合いに声を掛けられたので来た。高校生に限らず大人もいて、とにかく盛り上がっていた。コンビニで買った卵や氷、近くに落ちている石やのぼり旗、とにかく投げられるもの全て投げていた感じ。紙に火をつけて駐車場に投げ捨てる人もいた。まるで『東京卍リベンジャーズ』の世界観だった」
この暴動を受け、沖縄県警警察署の前では28日も厳戒態勢が敷かれた。
午後9時ごろから続々と機動隊車両が集結。バリケードを設置して、機動隊が隊列を組み、署前の歩道を封鎖した。ただ、この日の夜は周辺に数十人ほど若者が集まったものの大きなトラブルは起きないまま、29日午前2時半ごろには警戒は解かれた。