「少なくとも“夜逃げ”はしない…」と日本人メンバーに
これに対して、「戦略」を変えようとする事務所も出ている。たとえば、JYPエンターテインメントは中国市場の収益を断念しても中国人以外のメンバーを起用する戦略を取り、韓国人、日本人、台湾人メンバーによるTWICEをデビューさせ、見事に人気グループに成長させた。
TWICEはデビュー以来、中国での単独コンサートやファンミーティングを行っていない。2016年1月、中国北京TVコンサートに出演する予定だったが、それも中止となっている。以後、香港を除く中国での公式スケジュールはない。
中国での売上げがほとんどないTWICEだが、韓国と日本で人気を得ており、EXOなどと違ってデビュー7年目を迎えた現在まで、日本人メンバーの契約破棄はまったくない。
それまで、韓国芸能界がアイドルグループに日本人メンバーを起用することはなかったが、TWICEの成功は「中国への執着」を見直すきっかけになったといえるだろう。また、日本はもちろん韓国でも人気があるだけでなく、「日本人は“夜逃げ”しない」「日本人は契約において信用できる」という認識をもたらしている。
「日本人メンバー必須時代」の韓国芸能界はどこに向かうのか
TWICEを経験したJYPエンターテインメントは2020年、日本のソニーミュージックとの合同プロジェクトとしてNiziUをデビューさせた。また、日本でもよく知られているIZ*ONEやTREASUREなど、日本人と韓国人で構成したグループが次々とデビューしている。
現地でも韓国の日刊紙「文化日報」が「K-POP、日本人メンバー必須時代」(2020年8月)と報じるなど、韓国メディアは韓国芸能界が中国系メンバーへの執着から脱して、信頼と人気が保証される日本人メンバーに目を向けたと分析している。“リスク”のある中国市場にどこまで執着するのか。韓国で活躍する日本人アイドルが増えている中で、韓国芸能界は岐路に立ちつつあるのだ。