テレビディレクター岡宗秀吾さんによる全部実話の青春特盛りエッセイ『煩悩ウォーク』。その出版記念イベントの模様をお伝えするシリーズも第2部に突入。いよいよ森山直太朗さん、御徒町凧(かいと)さんの登場です! 途中から映画監督の大根仁さんも駆けつけてくれました! 司会は第1部前半・後半につづき、堀雅人さん。
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直太朗ファンが多すぎる
岡宗 それでは、盟友、森山直太朗と御徒町凧です!
(会場拍手)
岡宗 俺ら、ド頭では、アウェイやと思ってたんですよ。直太朗ファンが多すぎるって。
御徒町 3年くらい前に出た直太朗の『自由の限界』っていうツアーのDVDで、フェイク・ドキュメンタリーを岡宗さんに撮ってもらってるんで、初めて見た人って感じじゃないと思うんですよ。
岡宗 え、だって、俺、出てないやろ?
御徒町 でもナレーションやられてましたし、この声聞けばわかりますよね。
岡宗 それまで直太朗くんは、所謂(いわゆる)ドキュメンタリーというのは撮ったことがなかったんだよね?
森山 あんまりやってないですね。大昔に1回くらいあったけど。
岡宗 それくらいだよね。そのとき、直太朗くんのお姉さんで、おぎやはぎの小木さんの奥さんの奈歩さんが……。
御徒町 当時、直太朗のチーフマネージャーをやっていたんですよね。
岡宗 俺と奈歩さんはもともと仲良くて、「直太朗の新機軸って感じの映像をお願いしたい」と直々にお話をいただいて、フェイク・ドキュメンタリーを撮ろうということになって。軽く筋を作りつつもご本人のアドリブというか、俺との会話の中で作っていってつなげていったんだけど、楽しかったねー。
森山 楽しかったですねー。
岡宗 俺ら、ワンテイクでバチバチ決めたもんな。
森山 音楽も楽しいけど、ずっとこんなことやっていたいと思いました。ずっとゆるく嘘をつき続けたいと。夢のような時間でした。
岡宗 直太朗くんがものすごく真摯に制作活動をやっているという筋で、高音を出すために蜂蜜を一気飲みしたり、極寒の中滝に打たれにいったりね。
紅白歌手を殺しかけた
森山 滝のロケの日は小雪がちらついていて、少し風邪気味だったんですけど、岡宗さんの顔を見てたらやらざるを得ない感じだったので、そのまま滝に入っていって。
岡宗 でも結構すぐに出てきちゃったのよ。
森山 僕には永遠に感じたんですよ。「すぐに出てきた」って言われても釈然としない。すごくチキンみたいな言われ方してますけど、急激に体温が下がって視界がキューッて狭くなって。朦朧とする意識の中に、演じなければいけないという僕の俳優魂みたいなものもあって。
御徒町 俳優じゃないから(笑)。
森山 岡宗さんは俺の異変に気付いていると思うんですけど、和製マイケル・ムーアとして、とにかくこのカメラを止めてはいけないと思ってるみたいで。僕はもう真っ青で、「はい、今、トラウマ・ナウ!」って感じだったんですけど、そこで岡宗さんが「どうっすかー、『さくら』みたいな曲、できましたかー?」って。
岡宗 だってもうワンテイクやらせられないでしょ。だからNGにならないように、カメラ止めなかったんよ。でも俺のひどいところは、「熱い風呂に入れてやろう」と思って温泉宿に向かったんだけど、行ったら休みでさ。「あー、俺は、紅白歌手を殺しかけたー」と。
(一同爆笑)
森山 あの滝のシーンだけは、真のドキュメンタリーでしたよ。
岡宗 普通、バラエティ番組でも、演者さんが挑戦する前にスタッフが試すんですよね。
堀 最低限のマナーですよね。
岡宗 でも、このとき、やらんかったから(笑)。
森山 こんなストレンジな体験を2人でできたんで、そこから岡宗さんに対して気安くなったというか。