北京五輪のジャンプ混合団体での高梨沙羅(25歳)の失格を受け、判定に疑問を呈する声がぞくぞくと上がっている。

 北京五輪の判定に揺れているのは、日本の世論だけではない。韓国在住の記者・菅野朋子氏が解説する。(前後編の前編/後編を読む)

高梨沙羅選手 ©AFLO

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SNSには「こんなんだったら中国体育大会してろ」と…

「また失格???!!! うわあ、頭にくるわあ!!!」(キム・ヨンギョンのツイッターより)

 2月7日、韓国女子バレーボールの絶対的エース、キム・ヨンギョン選手も疑惑の判定にこう怒りを露わにした。

 韓国が騒然となったのは7日に行われたスピードスケート・ショートトラック男子1000M準決勝。決勝進出を決めた2人の韓国人選手が相次いで失格となったことが発端だ。

 1組めに出場した韓国のエース、ファン・デホン選手は3位から後半、中国人選手二人をごぼう抜き。1位でフィニッシュラインを通過したが、審判陣はすぐにビデオ判定へ。10分後には失格となった。

 中国人選手を追い抜いた際にレーンの変更が遅かったことが反則とされた。ファン選手はショートトラック1000M世界記録とオリンピック記録保持者だ。解せないといった表情で首を傾げながら、判定については何も語らずリンクを後にした。

 テレビ解説者も納得がいかないと話していたが、解説者の怒りが爆発したのは続く2組め。

 韓国人のイ・ジュンソ選手は2位でゴールし、決勝進出かと思われた。本人も両手を挙げて喜びを表していたが、これもやはりビデオ判定で失格に。ハンガリー選手を追い抜いた際のレーン変更に反則が見られたという。韓国のSBSテレビのパク・スンヒ解説者はこう怒りをぶちまけていた。

「イ・ジュンソ選手は後にいたシャオリンサンドル・リュウ(ハンガリー)が前に出てくる過程でその前を滑っていただけ。リュウ選手とは特になんの接触もなかった。リュウ選手は左足が氷に引っかかって転倒しただけだ」

 納得のいかない失格続きに韓国のSNSやコミュニティサイトには「ウインカーださなきゃ(インコースにも)入れないのか」や「こんなんだったら中国体育大会してろ」など中国を囂々と非難する書き込みが並んだ。

 このショートトラック男子1000M決勝戦ではハンガリーのリュウ選手が1位となったが、またもやまさかのビデオ判定で、追い抜きした際、無理なコース変更をしたとして失格に。金・銀の表彰台に上がったのは中国人選手二人だった。

 韓国ではこの時のビデオ判定が繰り返し放映され、中国人選手がリュウ選手にタッチしている写真をキャプチャーし、「これでも中国は金メダル」(朝鮮日報2月9日)と報じたところも。“中国びいきの判定”の声が燻った。