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 実は韓国ではこの疑惑の判定前にも五輪の開会式を巡りひと騒動があった。中国の少数民族として紹介された「朝鮮族」の女性がチマチョゴリを着ていたことから、「韓国の伝統衣装である韓服が中国由来とねつ造された」という声が上がっていた。

 朝鮮族は朝鮮半島をルーツとし、日本の植民地時代に中国に送られたり、朝鮮戦争時に中国へ逃れた人々をいう。主に北朝鮮との国境近辺に多く居住しているといわれる。中国にある55の少数民族のうち人口規模では14番目に当たる。全国紙記者の話。

「冷静に考えれば、朝鮮族のルーツは朝鮮半島ですし、朝鮮族が韓服(チマチョゴリ)を着なければそれはそれで奇妙な話です。

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 今回は韓服の起源とは関係なく解釈すべきなのですが、一昨年には、中国のモバイルゲームで韓服を中国伝統の服飾である『漢服』と紹介していることが分かり物議を醸しましたし、中国への積もり積もった感情が爆発した感じです」

ファン・デホン選手 ©AFLO

 2000年代初めには、古代朝鮮の三国の「高句麗」「百済」などを「中国の地方政府」とする「東北工程」(中国東北部の歴史研究プロジェクト)を中国が発表し、韓国からは「歴史をねつ造している」として激しい抗議が起きていた。いったん、政治問題とはせず研究分野として解決していくとされたが、韓中ではことあるごとに頭をもたげる懸案になっている。最近ではキムチの起源を巡る論争も起きていた。

選手の台を手で払うような仕草が「中国への抗議」?

 12日にはスピードスケート男子500Mで銀メダルとなったチャ・ミンギュ選手が表彰台に上がる前に台を手で払うような仕草をしたことから、これが中国への抗議とみられ、物議を醸した。13日のカーリング女子では対中国戦の後、韓国代表が負けると、「氷の状態が悪かった」と指摘するような声もあがっていた。

 韓国では当初から盛り上がりに欠けていた北京オリンピックだったが、疑惑の判定などからこうしたくさくさした雰囲気が広がった。それを一気に吹き飛ばしたのは、13日夜に行われたスピードスケート女子500Mでの小平奈緒選手と、そのライバルだった李相花解説者のやりとりだった。

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