文春オンライン

「Where is 相花?」「私たちは永遠にオリンピックチャンピオンだよ」…小平奈緒と李相花の友情に、韓国人が再び涙したワケ

#2

2022/02/18
note

 スピードスケート・ショートトラック男子1000M準決勝での「疑惑の判定」を皮切りに、北京五輪への懐疑的な声が韓国で高まっているという。

 そうしたくさくさした雰囲気を一気に吹き飛ばしたのは、13日夜に行われたスピードスケート女子500Mでの小平奈緒選手と、そのライバルだった李相花解説者のやりとりだった。韓国在住の記者・菅野朋子氏が解説する。(前後編の後編/前編を読む)

左から、2017年の大会での李相花と小平奈緒選手 ©AFLO

◆ ◆ ◆

ADVERTISEMENT

小平選手から開口いちばん出た言葉は「Where is 相花?」

 小平選手は4年前の平昌冬季オリンピックでオリンピック記録を出し、金メダルを獲得。この大会では李選手の3連覇が注目されていたが、李選手は小平選手に続く2位となった。

 小平選手のオリンピック新記録に沸く観衆に向かって、小平選手は次に滑る李選手のために口に指をあてて静かにするように求めた。そして、レース後は涙にむせぶ李選手のもとに滑り寄って柔らかく抱擁し、並んでリンクを一周した姿は韓国では今も語り草になっている。

©文藝春秋

 李選手は平昌オリンピックを最後に引退。北京オリンピックでは韓国のKBSの解説者として小平選手に声援を送っていた。

 スタートからレースを見守っていた李解説者は、途中、小平選手の不振に気づくとそこからは言葉に詰まった。後に解説ブースが映されると、涙をこらえるのが精一杯といった李解説者の姿が映し出された。それでも、ゴールへ向かう最後のコーナーでようやく「最後まで最後まで」と絞り出すように小平選手を激励していた。

 すべてのレースが終わった後、韓国メディアに、「李解説者に何かひと言お願いします」と呼び止められた小平選手から開口いちばん出た言葉は、「Where is 相花?」だった。解説ブースを記者が指さすと、小平選手はそちらを見ながら韓国語でこう話しかけた。

©AFLO

「元気だった?」、「会いたかった」、「私は今日(のレースは)よくなかった」、そう言って下を向いた。短い言葉だったが、ライバルであり、共に鎬を削り、信頼関係にある友にしか話せなかったであろう言葉に、韓国のツイッターでは「小平奈緒」が人気トレンド入り。

「小平選手、韓国語で挨拶なんてすばらしすぎる。スポーツってこういうことだよね」「小平選手の、どこにいるの? 相花、という言葉を聞いたとたんもう涙が止まらなくなった」「これが本当の友情だよね。もう、(見ていて)地下鉄で涙が止まらなくなっちゃった」というつぶやきで埋め尽くされていた。

 これには、さらに続きが。