暴走する重機が歩道に…下校途中に奪われた娘の命

生まれつき聴覚に障害があった、井出安優香さん。2018年2月1日、わずか11歳で命を奪われた。

 

安優香さんの父親・井出努さん:
あれから4年が経って、ちょうど生きていたら、中学卒業なんだなと思いますね

 

事故は、聴覚支援学校から帰る時に起きた。歩道を歩いていた安優香さんは、突然突っ込んできた重機にはねられた。

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重機の暴走の原因は、運転手の男がてんかんの発作を起こしたこと。病気を隠して運転免許を更新していたことが分かり、刑事裁判で懲役7年の判決が確定している。

 

安優香さんは生まれてすぐ、医師に「言葉を話すことは難しい」と言われていた。
しかし努力を重ね、人前で堂々と話せるようになっていた。

井出安優香さん:(当時)
赤組・白組の思いのこもった迫力ある応援をご覧ください

運動会では、みんなの前で精いっぱい語った。

 

井出努さん:
声もスマホに残ってるんですよ

安優香さんの母親・さつ美さん:
楽しみにしているからね、みたいな

スマホから聞こえる安優香さんの音声:
今度は楽しみにしているからね

 

娘の命は…両親を苦しめる“逸失利益”の考え

両親は娘を成長のさなかに奪われた上に、過酷な現実に直面している。

井出努さん:
娘の11年間の努力、家族一緒になって努力をしてきた。今度は民事裁判で、これだけ頑張ってきた娘を侮辱する…娘を2度殺されたという気持ち

井出さんが損害賠償を求めて起こした民事裁判で、被告の運転手などが出してきた主張は思いも寄らないものだった。

 

賠償額を決める根拠となるのは「逸失利益」=事故にあわなければ将来得ていたはずの収入だ。

井出さんは、安優香さんの逸失利益について「全ての労働者の平均賃金」をもとに計算するべきだと主張している。
しかし、被告側は安優香さんの聴覚障害を理由に、逸失利益は全労働者の平均賃金の約6割の「聴覚障害者の平均賃金」で計算するべきだと主張。