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【中日】名古屋が生んだ世界のスター・イチローをドラゴンズに

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2017/12/05
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「現役の最後はドラゴンズでプレーしてよ」

 20代の頃から何度も見る夢がある。

 それは僕とイチローが小中学校の同級生という設定で、オフにアメリカから帰国すると必ず一緒にキャッチボールをする、という夢。

「えっ! まだ係長なの? 島耕作読んでる効果が全然ないじゃん」などとからかいながらイチくんはどんどんその距離を伸ばしていく。80m位の所で「もうノーバン無理っしょ」と言われるが、僕はこの日を迎えるために1年間遠投の練習をしてきている。今日一番の力を込めた投球は45度の放物線を描き、ギリギリだがノーバンで赤いグローブに収まった。

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「おっ! まだイケるね~フロリダ来る?」とイチくんは嬉しそうに叫ぶ。中学時代と同じ、無邪気な笑顔で……。

 3時間ほどトレーニングに付き合った後、ヘトヘトになった僕はベンチでスポーツドリンクを飲みながら例の件を切り出す。

「40過ぎたしさ~、イチくん名古屋に帰って来てよ。現役の最後はドラゴンズでプレーしてよ」

 少し間があった後、いたずらっ子のような顔をしてイチくんはこう言う。

「オレ、言っとくけど50まで現役やるからね。ま、サチモスがそん時まで遠投80m投げられたら考えるわ! あとドームじゃなくてナゴヤ球場復活が入団条件だからね(笑)」

マーリンズからFAになったイチロー ©文藝春秋

 現在僕もイチローも44歳。僕はサラリーマンとしてようやく社会的にまぁまぁ認められるポジションとなった。全力で走り回った30代と比べ少しづつ生活にも余裕ができ、子供達を連れて球場へ行くこともしばしば……。一方、イチローは今オフ、メジャーリーグの代打安打記録に迫る活躍を見せたもののマーリンズとの契約オプションを更新せずFAとなった。僕の夢「イチロー、ドラゴンズ入団」が現実になりうるチャンスがやってきたのだ。

 ところがだ、イのイチ番に獲得を表明しなくてはいけないはずの我がドラゴンズは「編成上枠がない」との理由で静観を貫いている。僕と同様「いつかはイチロー」と願い続けている多くのドラゴンズファンは、恐らくヤキモキしている事であろう。

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