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《ウクライナ侵攻》「太平洋戦争中の日本のような状況」「洗脳されてしまう」プーチン指揮下ロシアの恐ろしすぎる“プロパガンダの実態”と内部に芽生えた“希望”とは

 ついにウクライナへの軍事侵攻に踏み切ったロシア。2022年の日本において「戦争」は非現実的な事態だ。国境を接する国が起こしたこととはいえ、リアリティを感じられずにいる人も多いのではないだろうか。

 しかしロシア軍は首都キエフの陥落を目論み、ウクライナに多方面から侵攻している。26日、ウクライナ保健省は子ども3人を含む民間人198人が死亡、1115人の負傷者が出たと公表した。軍の被害も甚大だ。ウクライナ大統領府は、ロシア軍の3500人が死亡し、200人が捕虜になったと伝えている。ウクライナ側の被害の全体像はいまだみえていない。

ウクライナの市街地 ©時事通信

 いま、ロシア国内はどういう状況なのか。モスクワの在留邦人に取材すると、「まるで太平洋戦争中の日本のような状況」になっているという――。

「神の祝福を!」ロシアが始めたプロパガンダ

 2月17日、ウクライナ情勢が危機的な状況にあることを、世界中の人々がようやく現実問題として捉え始めた。ウクライナ国防省は同日、東部ルガンスク州で子供20人を含む38人がいた幼稚園が親ロシア派の攻撃を受け、職員3人が怪我をしたと発表したからだ。欧米諸国はこれを強く非難。ロシアのあまりに強硬な姿勢に、SNSにはいろいろな言語で批判が投稿されていた。

 しかし同時期、ロシアメディアはすでに「ロシア側が被害を被った」との報道を始めていた。

「17日に親露派が攻撃されたと報じられ、18日には『ロシア側に避難するように』との政府声明が出されました。どこまで事実なのかはよく分からない部分もあるのですが、ロシアとしては、『追い込まれ始めざるを得なかった戦争』というストーリーを描いているように感じました」(大手紙国際部ロシア担当記者)

 その後の2月24日、ビデオ声明でプーチン大統領は開戦をこう宣言する。

《ドンバス地域(ウクライナ東部)の人々(親ロシア派)は、ロシアに助けを求めました。そして、私は特別な軍事作戦を行うことを決定しました。キエフ政権から8年間、虐待・虐殺(ジェノサイド)された人々を保護する目的であり、ウクライナを非軍事化および非武装化し、ロシアを含む平和を願う人々に対して数々の血なまぐさい罪を犯した人々を裁判にかけることを目指します》

 同日、プーチン大統領の宣言に前後して、ロシア軍はウクライナ侵攻を開始。ロシア政府のプロパガンダ紙ともいわれる「RT(旧・Russia Today)」は、色めき立った。

 ロシア軍の戦車が侵攻する様子を「We have been waiting for this for 8 years!(この8年ずっと待っていた!)」「God bless you guys!(あなたに神の祝福を!)」などとテロップを付けた動画を配信。プーチンの決断を支持する動画は、多くのロシア国民の目に触れたことだろう。

侵攻するロシア軍の動画についたテロップ「We have been waiting for this for 8 years!(この8年ずっと待っていた!)」
侵攻するロシア軍の動画についたテロップ「God bless you guys!(あなたに神の祝福を!)」

 開戦のこの日から今に至るまで、テレビでも戦争を支持する内容が流され続けているという。モスクワに住む30代の邦人男性はこう漏らした。