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《ウクライナ侵攻》「太平洋戦争中の日本のような状況」「洗脳されてしまう」プーチン指揮下ロシアの恐ろしすぎる“プロパガンダの実態”と内部に芽生えた“希望”とは

国民を“洗脳”「テレビや新聞は異常」

「モスクワの街は一見穏やかですが、至る所で老若男女が戦争について話しています。雰囲気は暗い。でも、テレビや新聞は異常です。ロシア国営放送は、延々とウクライナ関連のニュースを放送していますが、どれも侵攻を正当化するようなものばかり。戦争の目的を『ジェノサイドからの保護』と話したプーチンの『宣戦布告』は、もう何度流されたかわからず、テレビを見ていると頭がおかしくなりそうになります」

プーチン大統領 ©時事通信

 前出の大手紙国際部ロシア担当記者もこう語る。

「ロシア軍にも相当数の死者が出ているはずです。海外メディアでは3500人以上が死亡したとも報じられています。しかし、国内では死者数などは報じられていません。自ら情報を集めないと『洗脳』されてしまうのがロシアなんです」

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国を掌握した情報統制とプロパガンダ

 ロシアはこれまで、こうしたプロパガンダと情報統制によって国内をまとめ上げてきた。2014年のクリミア併合の際には、ウクライナ情勢をめぐる強硬姿勢によってプーチン大統領の人気が爆発的に上がり、支持率は90%を超えた。

「ロシア政府の統計は恣意的な操作がされている可能性が高くあてになりませんが、これは信頼のおける調査機関『レバダセンター』による統計なんです。同機関は政府と距離があり“スパイ認定”もされているほどです。そんな機関がプーチン大統領の支持率を90%と出してきた。これは極めて当時の実態に近い数字だったと考えられます」(前出・大手紙国際部ロシア担当記者)

ウクライナ市街地 ©共同通信

 しかし徐々に支持率は落ち、2020年夏頃にレバダセンターが発表したプーチン大統領の支持率が60%を切った。

「これまでの欧米各国の制裁による経済成長の鈍化や、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからなかったことから支持が低迷し始めたんです」(同前)

 それでも支持率は十分高いように思えるが、情報統制が敷かれた近年のロシア国内では“異常事態”だった。この一因となったのがSNSの隆盛だ。

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