店外へ女性を連れだしてからはその客の自業自得にも思えるが、さすがに前金とは別に飲食代金をとるのは詐欺みたいなものだ。それでもなかなか摘発できなかったのはなぜなのか。
「店のリスク管理がしっかりしていたからです。店には目立たないように、『50分 3万9千円』という金額が書かれたものが実は貼ってあるんです。ただ客が気になるのは『前金を払った分、女の子からしっかりサービスを受けられるか』だけなので、そんな張り紙には気づきません。だから警察が来た時には、店はその張り紙を根拠に営業の正当性を主張したり、ごねる客に対しては逆に『店が請求した額の倍を支払う』と被害届を取り下げさせていたりしたので、なかなか警察は摘発できませんでした」(同前)
摘発逃れ対策はこれだけではない。警察への通報を防ぐため、怒って退店した客の尾行までしていたというのだ。
Kグループの情報網で「怒って退店した客を尾行し…」
「店に連れてきたのとは別のキャッチが外で待機し、店を出た客を尾行するんです。もし客が携帯を取り出して110番を押しそうになったり、交番に向かいそうになったら、関係ないキャッチのふりをして声をかけ“ガス抜き”をしていました。『大変でしたねえ』みたいに話を聞いてあげると、意外と落ち着いて帰るんですよ。
怒って店を出た客はたいてい店を紹介したキャッチを探します。しかしKグループのキャッチのネットワークは広く、客がどこへいったかは情報共有されている。見つかることはほぼありません。『いまここにいるよ』とか『ようやく北口に帰ったわ』とか、キャッチ間で連絡を取り合っていました。いずれにせよ、びびってもうキャストの中国人女性も出勤しないでしょうから、Kグループも別の“ぼったくり”システムを考えるしかないでしょうね」(同前)
近年、ぼったくり店の数は激減していたというが、「今回の摘発で池袋の組織的ぼったくりはほぼ消えた」と関係者は話す。コロナ禍で苦しく、池袋は「オチ」(キャッチなどの取り分)も低いため、一番金払いが良い歌舞伎町に“引っ越し”を検討する声も出始めているという。
撲滅後の警察とぼったくりのイタチごっこは、今後どうなっていくのだろうか。