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「人生の予告だったのだろうか」
〈あれは何ものかの私へのこれからの人生の予告だったのだろうか、あんな男の役をこの私が演じさせられたのだ。あれはなんとも寝覚の悪い出来事だった〉
強烈な「我」を抱える作家と「死」の格闘は続く。
〈「死」の予感とその肌触りは人間の信念や予感までを狂わせかねない。死に対する当人がこしらえた様様な免罪符や安息も許さない。それは死に関するいかなる自己撞着も赦さない〉
最後に思い浮かんできたのは、意外なことに美空ひばり往年のヒット曲の歌詞――「いつかは沈む太陽だから」。そして「死」との格闘は決着にむかうのだった。
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「文藝春秋」4月号ならびに「文藝春秋 電子版」では、石原慎太郎氏の絶筆「死への道程」にくわえて、最期を看取った四男・延啓氏のインタビュー「父は最期まで『我』を貫いた」を掲載している。

