「原料と製品。敢えてこの言葉を使いますが、でもそれが現実。メドヴェージェワは我々の工場の製品です」
ロシアフィギュア界で“鉄の女”の異名を持つコーチ、エテリ・トゥトベリーゼ(47)はかつて、愛弟子をそう喩えていた。
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ショートでは首位に立つも、ミスを連発して4位に
金メダル最有力候補だったカミラ・ワリエワ(15)のドーピング問題は北京五輪最大のスキャンダルとなった。昨年12月25日の検査で禁止薬物の陽性反応が出たにも関わらず、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場を許可したのだ。
ショートでは首位に立つも、フリーではミスを連発して4位に転落。号泣する少女を通して見えたのは、祖国の闇ともいえる実態だ。
「2014年、陸上代表選手の告発から組織的ドーピング問題が明るみに出た。しかし今大会のフィギュアチームには以前、アンチ・ドーピング規則違反で資格停止処分になった医師が同行するなど、不正を疑われても仕方のない状況が揃っている」(スポーツ紙記者)
エテリ氏のもとに、全国から優秀な選手が集結
女子フィギュアは近年、ロシアの覇権が続く。その立役者がエテリ氏だ。ソチ五輪団体金のユリア・リプニツカヤをはじめ、平昌五輪金のアリーナ・ザギトワ、銀のエフゲニア・メドヴェージェワらを次々と育てた。
「フィギュアのロシア代表を目指したが挫折し、アメリカに渡ってアイスショーに出演。03年には未婚で娘を出産している。メディア嫌いで知られるが、ロシア国営放送や『VOGUE』などファッション誌の取材には応じます」(現地記者)
エテリ氏が08年から指導するモスクワのスケートクラブ「サンボ70 フルスタリヌィ」には全国から優秀な選手が“ロシアンドリーム”を夢見て集結する。