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「国民は自らの意思でロシアへの編入を支持した」

 ヤヌコーヴィチ元大統領のロシア亡命後は、親米派のアルセニー・ヤツェニュクが暫定的にウクライナ政権を握ることになる。その直後にロシアはウクライナのクリミア半島に侵攻。ヤツェニュク政権に対する報復措置ともとれるタイミングだった。

 プーチン氏は次のように語っている。

クリミア併合は「国民自らの意思であり、尊重しなければならない」と語ったプーチン大統領 ©文藝春秋

「新政権が早速議論しはじめたのは、ロシア語の使用を制限する法律を作ろうという話だ。ヨーロッパ諸国がやめさせたが、社会にシグナルは送られてしまった。ロシア系住民が圧倒的多数を占めるクリミアなどは、国がどこに向かおうとしているかはっきりと認識した。この地域のウクライナ国民の多くはロシア語を母語だと考えている。クリミアの人々は新たな状況に特に恐怖を抱いた。彼らに対する直接的脅しもあった」

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「クリミアの人々は国民投票に参加した。ムチやマシンガンで脅したわけじゃない。そんな方法で国民を投票所に行かせることなどできない。国民は自らの意思で投票所に来て、投票率は90%を超えていた。さらに投票した人の90%以上がロシアへの再編入を支持した。人々の選択は尊重しなければならない。そして民主主義の原則にそむき、自らの政治的利益に合わせて国際法を捻じ曲げることは許されない」

 ロシアによるクリミア侵攻の後、クリミア自治共和国とセヴァストーポリ特別市は、ロシア連邦に編入する是非を問う違法な住民投票を実施。9割以上がロシアへの編入を支持した結果を受けて、ロシアはクリミア半島を「併合」したのである。

 ストーン監督による「つまるところ、結局は力のある者が勝つという話じゃないか」という指摘に対し、プーチン氏は「アメリカの武力によるイラク侵攻についてはまさにそのとおりだ。イラクでは選挙は行われなかった。一方クリミアでは、われわれは民衆が投票所に来られる状況を整えた」と譲らない。

 さらに「クリミア併合に対して、国連の非難決議はあったのか」と問われても、「いや、私の知る限りなかった」と答えるのみだった。

 国連総会は2014年3月に、「住民投票」の無効や、他国によるウクライナの国境線変更を認めないことを採択したが、ロシアによるクリミア半島の占領は今日まで続いている。

 プーチン氏はクリミア侵攻の理由を「自国民保護のため」としているが、今回のウクライナ侵攻でも、「ウクライナ政権によって虐げられ、大量虐殺に遭ってきた人々を保護すること」を目的と述べている。しかし、これをプーチン氏の真意と受け取る人は少ないだろう。

 つづいて、世界におけるロシアの立場やNATOについて、プーチン氏が語った内容を紹介する。

オリバー・ストーン オン プーチン

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文藝春秋

2018年1月12日 発売