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「決定力という意味で、育恵はいいモノを持っていると思います。その一方でこれまで星奈がスキップをやっていたこともあって、どこかそこまでの経過に無頓着な部分もあった。自分の投げ順になって『これ投げるのね、了解』という、他人事とまでは言いませんが、いわば場当たり的に投げていた。

 そういうタイプのフォースも世界的にはいないこともないのですが、僕としては彼女にもうちょっと責任を持たせたかった。リード、セカンドからのショットセレクションを育恵本人で決めて、その結果、自分のショットがこうなった。そのつながりと責任を学べば、世界がより近くなると思います」

 両角が中部電力のコーチに就任したのは2018年だが、この「スキップ北澤」はコーチ就任以来、「珍しく僕から口を出した」唯一の指示だという。新生チームの試金石という意味では、この世界選手権は最高の舞台となってくれそうだ。

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ロコ・ソラーレが北京で戦ったライバルも多く出場する

 やはり一番の懸念は長丁場ということになるだろうが、中部電力はコロナ禍ということもあり、昨季と今季、渡航をせずに地元・軽井沢で基礎トレーニングに時間を割いてきた。

 ホームリンクのある軽井沢風越公園は、屋外グラウンド、体育館、プール、テニスコートなどを持つ、カーリング場を含む複合運動施設としては日本最大規模を誇る。

 そこで氷上練習と並行してフィジカルや体幹を鍛える二部練習を組み、基礎能力のベースアップに成功した。

松村とコンサドーレの谷田は、ミックスダブルス日本代表として4月下旬にスイス・ジュネーブで開催される世界選手権に派遣される可能性が高い ©JCA IDE

「軽井沢は走りやすい道が多い」(松村)

「雨の日でも体育館で走れる」(鈴木)

 ふたりがそう語るように、特に持久力を求めてのランニング量はアプリを駆使してチーム内で共有するなど、いい競争が生まれている。その持久力が今大会で通用するのかも見どころのひとつになってくるだろう。

 チームは地元・軽井沢を3月上旬に出発して、現地で最終調整に入った。

 道産子のロコ・ソラーレが北京五輪で大きな結果を出してくれた。次は軽井沢産カーラーの出番だ。

 世界選手権には、北京五輪で銅メダルを獲得したスウェーデン(アンナ・ハッセルボリ)、スイス(アリナ・ペッツ)、韓国(キム・ウンジョン)など、ロコ・ソラーレとともにオリンピックを盛り上げたライバルも多く出場する。

 中部電力もカーリングの本場・カナダで世界トップチームと好ゲームを展開し、5月の日本選手権(アドヴィックス常呂カーリングホール)に向けて、日本にいい風を送ってほしい。初戦は日本時間の3月20日午前11:00から、トルコとの対戦だ。