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「大島さんはとんでもない興行師ですよ」

大島 そういう苦しい目に主人公があうのが、物語の基本ですから。

鹿島 『香川1区』でも小川さんは悩み苦しんで(笑)、成長と逆転勝利を見せたわけです。こんなよくできた成長物語の続編、あります?

大島 そうなりましたよね(笑)。そのストーリーは小川さん自身が作ったものですけど、ドキュメンタリーこそ面白くなるよう頑張らないといけないんですよ。重要な問題を扱ってるのに面白くない作品を見ると「ああ、もったいない」と思って。

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鹿島 そこで平井さんをちゃんと出すわけですね(笑)。大島さんはとんでもない興行師ですよ。

※この対談は、1月30日に長野相生座・ロキシーにて行われた〈特別企画 大島新×地元記者全国巡業トーク第一弾「香川一区と長野一区」〉における、大島新、プチ鹿島、松澤亮(テレビ信州)三氏によるトークイベントを、映画に関係する内容を中心に再構成したものです。

大島新(おおしま・あらた):1969年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、フジテレビに入社。父・大島渚の脳出血、母・小山明子の介護うつなどで家庭状況が大変な中、同局『ザ・ノンフィクション』で初ディレクターを務める。99年に退社してフリーに。以降、様々な番組の演出を手がけながら、2007年『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』を監督。2020年『なぜ君は総理大臣になれないのか』は話題を呼び、キネマ旬報ベスト・テンで文化映画ベスト1など受賞多数。続編『香川1区』が全国で順次公開中。

プチ鹿島(ぷち・かしま):1970年長野県生まれ。大阪芸術大学在学中にラップグループを結成、活動していた。上京後、いくつかのお笑いグループを経て2007年からピン芸人として活動を開始。現在は時事ネタを得意とし、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。TBSラジオ『東京ポッド許可局』への出演のほか、『教養としてのプロレス』(双葉文庫)、『芸人式 新聞の読み方』(幻冬舎文庫)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集』(文藝春秋刊)など、著作多数。