政治ドキュメンタリーとしては異例の大ヒットとなった 『なぜ君は総理大臣になれないのか』。“主人公”小川淳也に敗れた陣営からは「小川のPR映画だ」とクレームも出た。

 同作と続編『香川1区』が選挙結果を左右できた理由とは? 現在発売中の『週刊文春CINEMA!』より、大島監督と“時事芸人”プチ鹿島氏の対談を特別公開する。

大島新監督(右)とプチ鹿島氏(左)

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鹿島 前作の『なぜ君は総理大臣になれないのか』を知ったとき、「小川淳也さんが国会で『統計王子』としてブレイクしたから、この1~2年に密着したドキュメンタリーを作ったんだろう」と思ったんです。ところが見てみたら、2003年から17年間も小川さんを追っていたんでビックリして。無名で地盤も看板もない人だったのに。しかも想像以上に面白かった。大島さん、持ってるなーと思って。

大島 ロケ運はいいと言われますけどね(笑)。

鹿島  『なぜ君』で小川さんは、接戦ではあったけれど、香川1区で平井卓也さんに負けてしまう(比例で復活)。次の2021年の選挙の決着は、自分の目で見なきゃと思ってたんです。そしたらこの『香川1区』で、そっちも密着してくれるというじゃないですか。プロレス的に言うと、「次のビッグマッチも押さえてくれるんだ!」っていう。

大島 喜んでいただいて、嬉しいです(笑)。

鹿島 予告編を見たらまさかの平井さんが出てる。こんなマッチメイク、わくわくするしかないですよ。

鹿島氏をわくわくさせた大島監督による平井議員へのインタビュー

大島 平井さんがインタビューに応えて下さったのは、2021年の8月だったんです。デジタル庁ができてデジタル大臣になる1週間前。

鹿島 我が世の春という頃ですね(笑)。

「小川淳也のPR映画だ」と……

大島 余裕綽々でしたね。『なぜ君』のタイトルも褒めて下さいました。「キャッチーでいいじゃないか」って(笑)。

鹿島 それが、菅さんが9月に退陣表明し、10月に衆院の選挙戦が始まってしばらく経つと、どうも情勢が悪いと分かってきた。それでどうしたかというと、「『なぜ君』という映画が悪い」と言い出したわけです(笑)。

大島 「小川淳也のPR映画だ」と。さらに、高松市の高校の先生が授業で生徒に『なぜ君』を見せたことが大問題になったりした。四国新聞が大きく報じたんですよね。