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「正直、博史は地味だよ。でもね…」“ヒゲの先輩”山内孝徳が語るホークス・藤本博史監督の素顔

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/03/25
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ある意味、チームワークはいらんのよ

 さて、そして今年の藤本ホークスだよな。これまでも若い選手を育ててきたし、視野の広さと観察力を持っている。監督として理想的よ。ただ、ファームの経験はあっても一軍監督は初めて。未知数なところはある。その中で良かったと思うのが、ヒロユキ(森浩之)をヘッドコーチに置いたことよ。これはうまくいくと思う。キャッチャー出身だし、性格的にも前に出たがるようなところでもグッと抑えることができる男。だから工藤監督ともうまくやっていたと思う。博史とも現役時代からずっと一緒にやっているし、サポート役には一番いい。抜群の男よ。

藤本博史監督(球団提供)

 また、博史は愚痴を表に出さない。毛嫌いを表現しない。だから各ポジションの担当コーチとも上手くやりそうだね。

 正直、ここ数年のホークスは、誰が監督をやっても勝てると言われたり、そうありながらも首脳陣がそのコマを上手く使わないと働かなかったりする印象だった。今年のホークスは世代交代と言われているから、まだ育っていない選手たちが試合に出ることになる。その能力を上手く引き出しながら勝っていくスタイルになる。極端にチームが変わると思うよ。それも俺は楽しみだね。

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 それに、今年はほぼ全員の選手から「監督のために」とか「胴上げしたい」って言葉が聞かれる。野球ってチームワークは大事かもしれないけど、その言葉をはき違えちゃいけない。ある意味、チームワークはいらんのよ。それぞれ個性でいい。自分のために一生懸命やる。でも、その結果がチームのためになるんよ。どんなに痛くても辛くてもグラウンドに立つ。一生懸命やっていれば他人のことをどうこう言う暇なんてないし、自分のことがちゃんと出来んヤツは周りに迷惑もかける。

 だからチームワークは仲よくすることじゃない。博史はそういうプロ野球の本質的なところを選手たちにちゃんと教えているんだと思う。だから、選手から自然に「監督のため」という言葉が出る。本音で接してきたからでもある。大正解よ。俺の現役時分は、杉浦忠さんがそんな存在だった。「この人のためなら命を懸けてマウンドに立つ」と思って投げていたね。

 そして、開幕カードは日本ハム戦か。新庄ビッグボス、面白いよな。どんな奇策で来るか分からないけど、新庄は絶対に負けず嫌い。口に出さないだけ。表情や振舞いを見ればわかるよ。その中でファンを喜ばせる。そのバランスを知っている。彼はその意味でもプロやで。「負けても」と言いながら、きちんと勝ってくると思う。ただ、もしかしたらハムは次の3連戦が本拠地開幕カードになるから、福岡では「魅せる野球」をして札幌に戻ってから「勝ちに行く野球」をするかもしれないね。でも、どうなるか分からない。本当に楽しみな開幕カードになりそうだね。

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