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危ない「ふるさと納税」 加熱する返礼品競争の実態

2018/06/03
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返礼割合の高い自治体は 

 表1は、ふるさと納税の寄附受入額の上位10団体について、寄附金額、返礼割合、総経費率等を示したものだ。2016年度の寄附受入額の第一位は、都城市である。都城市は、2015年度も受入額第一位であり、返礼割合の高いお得な自治体として有名だ。宮崎牛を中心に多彩な返礼品を提供している。同年度第2位の伊那市は、2015、2016年度に寄附受入額が急増した自治体である。2014年度の寄附受入額は、1836万円だったものが、2015年度には25億8262万円、2016年度には72億469万円にも達している。伊那市は、2016年度時点では、寄附金額に応じて4Kテレビ、カメラ、掃除機などの家電製品を提供しているお得な自治体として有名であった。ただし、2017年4月の総務省の通知を受けて、高額の家電製品の取り扱いを中止した。

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 間接経費率が最も高い自治体は、宮崎県都農町16.6%となっている。これは、民間ポータルサイトの利用費用が高いためである。ふるさと納税のポータルサイトでは、自治体に代わってサイトの運営、申し込みフォームの提供、クレジット決済の提供などをおこなっている。情報のみを提供する無料プランも存在するものの、ふるさと納税に力を入れている多くの自治体がポータルサイトの有料プランを利用している。有料プランには、定額プランと従量プランの2つが存在している。従量プランを選択した場合には、寄附金額の一定比率を支払うことになるため、寄附金額が多い自治体では間接経費も大きくなるわけだ。