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《徴兵拒否のため病気を偽装、女装して避難する男も》ウクライナ侵攻から1ヵ月、現地在住邦人が語る“国民総動員の現実”

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戦争がイヤで海外へ移住した人も…

――国外退避も簡単ではない。

山本 難民問題は深刻です。ヨーロッパ各国に300万人を超えるウクライナの難民が一斉に押し寄せているので、いろんな問題が起きているんです。

 実は戦争が始まる前や初期の頃に国外に出て行った人たちは、そこまで難しい状況じゃないんです。実際に直接的な被害にあったわけではありませんから。本当の難民というのは、それこそキエフ、マリウポリ、ハリコフ、ニコライ、ヘルソンなどのロシアからの攻撃にあった都市をなんとか脱出して、これからウクライナ国内のどこかの地方に避難をして、その後にヨーロッパの他の国を目指している人たちです。

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戦闘地域から避難する民間人 ©getty

 彼らと比べると、戦争が始まる前に自分のアパートを売ったり、車を売ったりして、ヨーロッパの他国に移住した人たちは、意外と悠々自適に過ごしているんです。そういった人たちが避難先の国でお酒を飲んだり、ロシア人と喧嘩をしたり、罪を犯したりといった事件が多発しているんです。他国の税金で受け入れてもらいながら問題をおこすということが続けば、いずれこのままでは「ウクライナ人を国へ帰せ」ということになるんじゃないかと危惧しています。

 戦争がイヤで海外へ移住した人もいます。あまり報じられていませんが、戦いを嫌がるウクライナ人も私たちは見てきました。例えば、いまウクライナでは18歳から60歳までの男性の出国を禁じる「国民総動員令」が出されていますが、3人以上の子どもを抱えている男性は、例外的に国外に脱出できるんです。そのため、最近では養子縁組を結んで子どもを3人以上にする成人男性が出てきています。

 あとは「病気のため海外で治療しないといけない」という人も特例で出国が認められているので、偽の病気の証明書をお金で買って国外に出ようとする人もいて、問題になっていますね。

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