昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

議員の家族や親族は西部の田舎に隠れている?

――全員が「絶対に戦う」わけではない。

山本 そうです。やはり徴兵経験のない、戦争自体を知らない人に1週間程度の訓練で「戦地に行け」と言っても、なかなか行けない人だっている。中には女装をして隠れて過ごしていたり、ウクライナ中を逃げ回っている若者だっています。やっぱり地方に行けば行くほど、みなさん「戦争が起きている」という実感もないですから。こればかりは仕方ないと思います。

 国民総動員令が発令された時期までに国外に出られなかった男性たちで、戦闘意思のない人たちはいま、ウクライナ西部の田舎などにひそかに隠れている感じです。それを裏付けるように、リヴィウの保養施設に停まっている車を見るとかなりの高級車なんです。このあたりは工業地帯で、旧ソ連時代の古い庶民的な車が多く、普段は道も駐車場もガラガラなのですが、いまは停まっているのがキエフとかわらない高級車だらけ。それこそ車の展示場のようです。

 経済的に余裕がある人や議員の家族や親族とか、そういった人たちがこちらに避難してきている。一般庶民は国を守るために戦地に向かっているんじゃないかと思います。外国人の立場で俯瞰して見ると「これが現実なのかな……」と思ってしまいます。

ロシア軍の攻撃によって破壊された市街地 ©getty

「自分がいる場所を絶対に言わないでくれ」と強く口止め

――戦闘に参加しないと罰則があったりするのでしょうか?

山本 法律として国民総動員令が出ているので国外には出られませんが、戦争に参加しないといけない義務はありません。ただ、参加しないことに対して周りの目というか……親族などから恨みつらみや陰口を言われている人もいます。

 今、「徴兵状」のようなものがどんどん届き始めているみたいです。地方に逃れている人でも、どこからか情報が漏れて「ドアを開けてみたら軍の関係者が立っていて、徴兵状を渡された」という話もこちらで聞いています。なので、知り合いで逃げている人からは「自分がいる場所を絶対に言わないでくれ」と強く口止めされています。

 もちろん、国民の多くは士気も高いですし、自分たちの生活を守るために戦っています。報道でも“綺麗な話”というか、「ウクライナ国民総動員で戦っている」という感じで報じられています。でも、あちこちで話を聞いていると、そうシンプルな話ではない。正直な話、私は日本国民なので、第三国者でキエフに残っていると迷惑になるのでこちらにいるという感じもあります。邪魔をしないようにというか……。ここから出てしまってもいいんですけれども、私も20年以上キエフに住んでいることもありますし、妻や家族もいます。ある意味でこうやってウクライナの情報、事実を内側から発信することが、私の今できることだと思っています。

プーチン大統領への抗議デモを行うウクライナ国民 ©getty

その他の写真はこちらよりご覧ください。

この記事の写真(15枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z