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ヤクルト開幕3連勝は連覇への吉兆か? 優勝へ立ちはだかる巨人との“因縁”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/03/29
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開幕3連戦の2、3戦目はダブルヘッダー!?

 翌4月2日の日曜日に組まれていたのが、今やNPBでは “絶滅”したダブルヘッダーである。そう、土曜開幕なのに3連戦が行われたのは、神宮とナゴヤはこの日は2試合を行うダブルヘッダーになっていたからだ(後楽園のみ土日月の3連戦)。当時はそこまで珍しいものではなかったとはいえ、いきなり開幕2日目に組むというのは、今考えるとすごい話だ。

 そのダブルヘッダー第1試合、ヤクルトは1番の新外国人デーブ・ヒルトンが3ランを含む2安打5打点の大暴れを見せると、エースの松岡弘が4点を失いながらも完投勝利。第2試合もヒルトンの本塁打を含む3安打、2打点の活躍などで逆転勝利を収め、当時としては球団20年ぶりの開幕3連勝となった。

 これで勢いに乗ったヤクルトは、そのまま初優勝へ一直線──となれば話は早いのだが、そう簡単にはいかなかった。立ちはだかったのはリーグ3連覇を目指すジャイアンツ。後半戦はヤクルトと巨人との一騎打ちとなり、最後はヤクルトがシーズン126試合目(当時は130試合制)で優勝決定。日本シリーズでは、前年まで2年連続で巨人が敗れていた阪急を下し、日本一まで上りつめた。

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ヤクルト優勝へ最大のライバルはいつも巨人

 その後、ヤクルトは覇権から遠ざかることになるが、野村克也監督が就任した1990年代には、再び巨人と優勝争いを演じる。1993年に長嶋茂雄監督が復帰してからは野村監督が積極的に“舌戦”を仕掛け、両者の対戦はヒートアップ。「ID野球」対「金満野球」(失礼!)という因縁のカードとして注目されるようになり、1994年から野村監督が退任する1998年にかけては、両チームの直接対決で勝ち越した方が優勝というシーズンが続いた。

 ヤクルトが2001年に若松勉監督、2015年に真中満監督で優勝した時も、2位は巨人。昨年の巨人は3位だったが、ヤクルトが後半戦初めての2位に浮上した8月29日の時点では首位に立っていた。

 ちなみに昨年の巨人との対戦は、11勝11敗3分けとまったくの五分。かつてのような“因縁”はもうないのかもしれないが、過去20年で見てもヤクルトが直接対決で勝ち越したのは2回だけで、今年も巨人との対戦はペナントレースの行方を左右しかねない。

 今日からは、その巨人を神宮に迎えて3連戦が行われる。まずは初戦に勝って開幕連勝の球団記録に並び、さらに更新していくことができるか──。昨年のCSファイナルステージで巨人を相手に完封勝ちを演じた奥川恭伸の快投を期待しつつ、神宮に取材に出かけることにしよう。

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