ロシアによるウクライナ侵攻支持の象徴として広がっている「Z」マーク。だが、日本で「Z」と言えば、あの男――。「アニメソング界の帝王」こと水木一郎(74)だ。

 東京都世田谷区で4人兄弟の末っ子として生まれ、母親の好きなスタンダードジャズを子守唄に育った水木。68年に「君にささげる僕の歌」でデビューすると、アニメ・特撮の主題歌を次々に担当。72年に放送が始まったロボットアニメ「マジンガーZ」のオープニングテーマは70万枚超の大ヒットを記録した。

水木一郎 ©文藝春秋

 持ち歌は1200曲を超えるが、中でも「マジンガーZ」は水木が「名刺代わり」と公言する代表曲だ。サビの部分で宙にZの文字を描きながら「ゼーット!」と雄叫びをあげる「Zポーズ」も水木の代名詞として定着した。

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 今年は「マジンガーZ」の放送開始からちょうど50年。これまで同作の主題歌、挿入歌を大切に歌い続けてきた水木だが、ウクライナ侵攻によって「Z」が思わぬ形で汚されてしまった。ロシア軍の戦車には「Z」マークが記され、親ロシアの民衆が「Z」を記した看板を掲げるなど、侵攻を支持するシンボルとして広がったのだ。

 これを受けてスイスの保険会社「チューリッヒ保険」は、ZURICHの頭文字である「Z」のロゴの、会員制交流サイト(SNS)での使用を取りやめた。水木も「Z」を自粛せざるを得なくなってしまうのか――。