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ファンとして、己の姿勢を悔い改めた……はずだった

 そして、何よりけしからんのは、ファンとしてのわたしである。たとえば巨人のファンは、新しく連れてきた助っ人がスカだったとしてもクロマティと比較して嘆いたりはしないが、わたしは、ディアーも、ハンセンも、ロサリオも、ボーアも、ことごとく比較してしまっていた。あの偉大にして唯一の存在、聖なるバース様と比較し、貶めてしまってきた。

 何よりいかんのは、巨人に対する態度だった。人を呪わば穴二つ、という言葉が本当ならば、わたしは、これまでの人生で少なく見積もっても2万個以上の墓穴を掘ってきてしまっている。巨人が日本シリーズでソフトバンクに4連敗すれば快哉を叫び、9月に入って大失速する昨年の様を見て思う存分あざ笑った。せっせせっせと反日という穴を堀りまくっているどこかの国とまったく同じことを、わたしは全人生をかけて巨人に対してやってしまってきていた。

 なので、悔い改めた。阪神は弱い。そしてその原因が己にあったことを潔く認め、いままでとは違った人間になることを固く誓った。それが、シーズンが開幕する前のことだった。

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 朝日放送の企画を止めることはできなくとも、もし今年、またNumberがシーズン途中に阪神を特集しようなんて言い出したら、ライター人生をかけて反対する。もし止められなかったとしても、断腸の思いで執筆はお断りする。絶対だ。

 タニマチ問題に関しては、わたしが何かするまでもなく、コロナが全面的に封鎖してくれている。こちらはまったく心配なし。ファンとしては、藤浪晋太郎がボール、ボールと続けただけで「おいおい」と不穏な気配を醸しだしていた意識を変えることにした。だから4月2日、申告敬遠で満塁にしたあと、桐敷が3ボールにしてしまった時も、これまでのわたしからすれば驚くべき克己力でため息をこらえ、精一杯、心の中で声援を送った。

 というわけで、わたしは悔い改めた。阪神の弱点は、解消されたはずだった。昨年、2位ながら勝ち星はセ・リーグで一番多かったチームから、マイナス要素が取り除かれたのだ。導かれる結論は、一つしかない。

 今年、阪神は優勝する。

 それが、いまでは遥か昔に感じられる開幕前の結論だった。

 ……。

 穴、また掘ろうかな。

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