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 また、「タングンマーケット」(メルカリのようなフリマアプリ)ではポケモンパンやシールがたくさん販売されており、1枚100円と良心的な価格から1500円ほどの高値まで価格帯は広い。人気インスタグラマーのnanheemangさんもシールへの情熱をコミカルに描いた、こんな投稿をしている。

「深夜1時に『メタモン』シールを手に入れるため、タングンマーケットで取引をした話」

nanheemangさんのInstagramより

 でも、こんな良いニュースもある。

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「ポケモンパンを2箱買ったが転売せず、保育園に寄付をした市民」

 ポケモンパンを高く転売することを批判し、手に入れる事ができたときの笑顔や幸せな気持ちを子供達にも分けたいから寄付をすることにしたと、タングンマーケットのコミュニティに書き込まれていたそうだ。

株価にも影響が

 1998年の発売開始当初は月に500万個ずつ売れていたが、再発売から35日で800万袋の販売を突破したそうだ。これを受け、ポケモンパンを販売する食品会社「SPCサムリプ」の株価は2022年1月末の7万ウォン台から、3月に入り9万ウォン台へと高騰した。

 ポケモンパンがないことで激高したり、店員に堂々と意見したり、さすがアジアのラテン・韓国らしいエピソードだと感じる一方、株式投資やビットコイン投資をする若者が多く、投資に対しても盛んなお国柄らしく、株価にまで影響するほど流行する熱量とスピード感もさすがとしか言いようがない。コロナ確定診断者が急増していることも、ここまで人気になっている理由のひとつのようだ。外で心配せずに遊びまわった幼い時を思い起こしたり、学生時代にポケモンシールを集めた青春時代を思い出したり。

SPCサプリム社のサイトより

 子供時代に思いきり買うことができなかったからこそ、お金を出してでも手に入れることのできる幸せを噛み締めているのだろう。たしかに、私も今でもセーラームーンのコスメやグッズを見ると胸がキュンとして、思わず買いたい!! 手に入れたい!! と思ってしまう。小さな頃に自分で買うことができなかった渇望感を思い起こしたり、夢中で遊んだ子供時代を思い返したりできるからだ。

 チュオクは国や年齢問わず、誰しもが持っているものなのだ。今こうやって一生懸命ポケモンパンを探していることも、誰かのチュオクになるかもしれない。かくいう私は、純粋なミーハー心から、一度は食べてみたいと願っている。