いまさら人気に火がついた理由
あまりに見かけないので、語学堂の先生にポケモンパンを見たことありますか? と聞いたところ、先生のお嬢さんたちは「12時(コンビニの搬入時間)にコンビニにいかなきゃ!」と毎日息巻いているそうだが、まだ買えたことがないという。入手困難であればあるほど欲しくなるのが人間の心理だけれど、全く関心がなかった私でも気になってしまうほど、見当たらないのだ。
韓国でポケモンが流行ったのは、今のアラサー世代が子供の頃だが、いまだに高い認知度を誇っており、MZ世代のK-POPアイドルたちはもちろん、老若男女が知っている。
韓国では楽しい思い出や、心に残るあたたかい記憶のことを「チュオク」と言うのだが、まさに子供時代のチュオクを探すように、ポケモンパンを求める大人たちがたくさんいるのだ。そこに若者のレトロブームやオープンラン現象(韓国の若者に流行しているお店が開く時間に合わせて並んで購入する現象)が加わり、より熱を増している。
シールほしさに爆買いするYouTuber…パンの行方は?
インスタグラムのハッシュタグは7万件越え(2022年3月30日時点)。ポケモンパンを大量購入し、どんなシールが出てくるかを楽しく紹介するYouTube動画など、SNSやメディアの影響もあり、もともと関心のなかった人にまで広がっているようだ。
チャンネル登録者数390万人を越える韓国の人気YouTuber・Heopopさんは、300個のポケモンパンを開封し、159種類あるシールの収集に挑戦。その様子を収めた動画を公開した。あまりにたくさん買ったパンはもったいないので、友達に配ったとも話している。「食」を大事にする韓国らしい一面だ。
流行になると、ものすごい速さと勢いで広まるのが韓国流だが、ポケモンパンをめぐり、様々なニュースが毎日のように飛び交っている。あまりに品薄ゆえ、これ以上文句を言われたくないと「ポケモンパン不売運動」を始めたコンビニもあるのだそう。前述した「ないです」の貼り紙も、在庫の有無を聞かれることを、事前回避するためだろう。
コンビニ店員に激高、抱き合わせ販売も
今月23日にはコンビニ店員からポケモンパンの品切れ案内をされた客が、「ポケモンパンがあるのに隠しているんじゃないか!?」と訴え、商品を足で蹴り、袋をひっくり返して警察が出動する事件まで起こった。韓国全土の至るところでポケモンパンと他の商品の抱き合わせ販売などの事例も相次いでいる。最近、韓国東南部の都市・大邱の某コンビニでは3万ウォン以上購入したレシートがなければポケモンパンは販売できないとし、世論から激しい批判を受けた。1500ウォンのポケモンパンを1800ウォンで販売するスーパーマーケットも登場し、高値で販売することが摘発されたりもした。