「わくいがチャンスを掴んだ」とTwitterでつぶやいた
では、ここまでの涌井君を振り返ってみましょう。昨年は通算10度目となる開幕投手を務め、開幕戦を始め次々と白星を重ねて、通算150勝を達成しました。月間MVPにも選ばれましたね。とにかく、前半は順調だったんです。しかし、6月辺りから調子を落とし、中継ぎで復帰もしましたが、結局は巻き返すことができないままシーズンを終えてしまいました。そして、今シーズンも開幕は二軍スタートと悔しい思いをしたはずです。
転機が訪れたのは、4月1日のソフトバンク戦。登板予定だった則本昂大投手が新型コロナウイルスに感染してしまい、緊急登板の機会が巡ってきます。試合には敗れてしまいましたが、6回を投げて被安打1、失点1の好投を見せてくれました。
このとき、僕はツイッターで「わくいがチャンスを掴んだ」とつぶやきました。すると、ファンの方から「実績のある涌井投手でもチャンスを掴んだという表現が正しいのか」という旨のリプライをいただきました。
そうですね。確かに涌井君は実績があります。ただ、実績があることで登板できるのは、引退試合だけなのです。どんな名投手でも、勝てなければ使ってもらえない。1年目でも20年目でも関係なく、対等に勝負してレギュラーを掴む。これは、プロ野球の厳しくも美しいところなのです。
その後、涌井君は4月9日の日本ハム戦で今季初勝利をマーク。4月16日のソフトバンク戦でも5回を投げました。どちらも完璧に抑えているという内容ではないですが、しっかりゲームを作り、先発投手として重要な「勝運」を引き寄せているところが良いですね。
さて、昨日は涌井君にとって、今季4度目となる先発試合でしたね。相手は古巣の埼玉西武ライオンズでした。西武は、かつて涌井君が着けていた背番号16の、ドラフト1位ルーキー隅田知一郎投手。この試合は、ベテランとルーキーの経験値の差が出たと言えるでしょう。
2回に連打で2点を失っても全く慌てる様子がなかった涌井君。また、4回に味方が5点を獲ってもピッチングが変わることはありませんでした。常に、ポーカーフェイス(無表情とも言う)で投げ続ける涌井君。一方、序盤から四球が多かった隅田投手は、エイヤッと修正したボールが甘く入って狙われることもありました。
隅田投手にとっては悔しいピッチングになりましたが、相手チームとか関係なく先輩から良いところを盗んで成長していって欲しいところです。
とにかくこれで涌井君は2勝1敗。152勝目。200勝まであと48勝!
がんばろう。コロナ収まったら、ステーキのどんに行こうな。
敬具
愛の波動砲・G.G.佐藤より
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