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ラインバック、オマリー、ジェフ……「じゃないほう外国人」の栄光

 さて、まだ悲しいくらいの低レベルではあるが、昨今の上昇ムードを生み出したのはエース青柳の復活だ。3年ぶりの完封勝利を含む戦線復帰後2連勝で、停滞するチームの雰囲気を変えた。そしてもうひとり、アーロン・ウィルカーソンも忘れてはならない。2戦目こそ一発に泣き0-1で敗戦投手になってしまったが、内容は文句なし。素晴らしかった。

アーロン・ウィルカーソン

 ウィルカーソンは、同じヒゲのイケメン、クローザー候補で日本デビューに失敗してしまったカイル・ケラーの陰に隠れた存在だった。MLBでの実績もウィルカーソン(14登板)よりケラー(44登板)が上で、チーム内での位置付けとしても、すでに実績のあるガンケルやアルカンタラより下だった。それでも二軍戦でしっかり結果を出し、新戦力としてチームに新風を吹き込んだ。

 彼を見ていると、「ひょっとして君も『じゃないほう外国人』?」と問いかけたくなる。同時に入ってきた外国人(投手なら投手、野手なら野手)は、年俸の安いほう、メジャー経験の乏しいほう、あるいは期待されていないほうが活躍する。球団伝統の「じゃないほう外国人活躍の法則」である。

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 古くは1976年から阪神でプレーしたマイク・ラインバック(MLBわずか5安打)とハル・ブリーデン(同148安打21本塁打)に始まるこの伝説(ブリーデンもけっこう打ったけど……)、1991年からプレーしたトーマス・オマリー(同310安打13本塁打)とマーベル・ウイン(同664安打40本塁打)や、2003年からプレーしたジェフ・ウィリアムス(同37登板)とルー・ポート(同129登板)など多くのケースに引き継がれている。

 神様ランディ・バースも入団初年の1983年キャンプではまったく振るわず、長打力では同期入団のスティーブ・ストローターのほうが期待されていた。彼も「じゃないほう外国人」だったのだ。

 そういえば上昇ムードに絡むジョー・ガンケルも、メジャー経験なし、2020年からプレーした同期入団のジョン・エドワーズ(同49登板)の陰の存在だった。きっとウィルカーソン&ガンケルの「じゃないほう外国人コンビ」が、この惨状をなんとかしてくれる。歴史はそう語っている。

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