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ふんどし一丁で冷たい川に…今宮健太30歳、“6年ぶりの寒行”に挑んだ理由

文春野球コラム ペナントレース2022

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 そして、6年ぶりに寒行を敢行した今宮選手。極寒の川ということもあり、今までは頭から水をかけていなかったが、「今年は頭からかけないかん」と自ら言い、勢いよく冷水を全身で感じたそうだ。寒行をするにあたり今年のお願いをする。今宮選手のお願いは

「今年は怪我なく1年元気に頑張る」

 今宮選手本人もお兄さんも怪我さえなければちゃんと結果を出せることは分かっていた。それとともにお兄さんは今宮選手の2022年シーズンにかける想いを身に染みて分かったそうだ。

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©ノボせもんなべ

 今宮選手は開幕前、サードのポジションを守らないかと打診されたそうだが、ショートにこだわりそれを断った。

 サードも練習をすれば出場機会も増えるはず。それでも、なぜ固辞したのか。お兄さんが話してくれた。

「健太が師匠と仰ぐ、元ホークスのショートであり、コーチであった鳥越(裕介)さんと約束しているから。必ず日本一のショートになる。そう弟が言っていた」

 今宮選手は子供の頃からとにかく負けず嫌いで、9歳上のお兄さんが今宮選手に遊びでプロレス技をかけて戯れていたら、絶対にやり返して来て、体の大きさが全然違うお兄さんにも負けじと立ち向かっていたそうだ。

 プロ野球選手として決して体は大きくない今宮選手。今も昔も大きな相手に立ち向かい続けている。昔から、やられっぱなしで終わらない今宮選手は近い将来必ず日本一のショートになるだろう。

なぜ一心寺はアニメキャラクターだらけなのか

 いきなり話は変わるが、お兄さんのお寺「一心寺」は何か違和感を覚える。

 その正体はお寺の至る所にある、アニメだ。

 お寺とは中々結びつきにくいアニメがなぜこんなにも?

写真一心寺のアニメ ©ノボせもんなべ

 お兄さんは元々アニメが好きだった。自身のツイッターでも「元声優志望で今はその経験を読経に活かすアニオタ住職」とちゃっかり自己PRしている。住職になったのはいいが、お寺はやっていくためになんとか人を呼ばなければいけない。普通にしても訪れる人は増えない。自分には何が出来るのか。そこで好きなアニメでこのお寺の歴史を分かりやすく知ってもらおうと考えた。

 オリジナルでアニメキャラクターを作り、物語を作った。最初は周囲に反対されることもあったが、中途半端で止めるのが一番ダメだと思い周囲の反対を押し切ってやり続けた。すると、子供も喜んでくれ、評判も広まったことで徐々にお客さんが足を運んでくれるように。今ではアニメ目当てで訪れてくれる方もいるくらいだ。「何事も諦めずやり続けていることが大事」。お兄さんは力強くそう答えた。

 一度決めたことを達成するまでやり続ける。これが今宮家の血なのかもしれない。

御朱印 ©ノボせもんなべ

 今シーズン、今宮選手がショートで試合に出続け、守備はもちろん打撃でも光を放ち、リーグ優勝して「選手会長・今宮選手」の乾杯の発声を聞きたいというのはお兄さんの望みであるとともに、僕をはじめホークスファンの望みでもある。

 春には一心寺では九州最大の八重桜が綺麗に咲き乱れる。その桜の様にシーズン終わりに今宮選手の笑顔が咲き乱れるのが今から楽しみだ。

八重桜 ©ノボせもんなべ

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