1ページ目から読む
3/3ページ目

「時期は未定ですし、私立中学に行く卒業生もいます。回収といっても、実際、どのくらいできるのでしょうか? すでにアルバムには寄せ書きをしている子もいます。回収に応じる子がどのくらいいるのでしょう。具体的な印刷方法については写真屋さんと話し合うというのですが、メールには『印刷屋さんが今週休みのため、来週以降、話を進める』とありました。おかしいと思って確認すると、休みではありませんでした」

卒業証書すらもらえていない息子に届いた責任転嫁の手紙

 後日、校長名でAさん宛の手紙が自宅ポストに入っていた。母親は「この内容ではさらにショックを招く」と悔しがる。その内容は、以下の通りだ。

 Aさんが書いた卒業文集を読みました。

 静かに静かに読みました。

 何度も何度も読みました。

 Aさんの気持ちが、思いが胸に迫ってきました

 手紙には文集を読んだことが書かれていた。しかし、続きにこうあった。

ADVERTISEMENT

 自分の人生の主役は自分。さだまさしの歌詞ですが、好きな言葉です。

 主役は確かに責任が重く、時として孤独です。

 でも、大丈夫。信じてください。

 自分のまわりには自分を支えてくれる応援団がいることを

 まるで病気のために長期間登校できない子どもを連想させる内容だ。しかし、Aさんは担任の不適切指導による恐怖心で学校へ行けなくなった。〈先生によるいじめ〉と〈なかった事にしようと必死になる学校の対応〉と書かれている内容を読んでの感想とは思えない。気持ちをスルーしたかのような手紙だ。

「校長先生は、アルバムに名前がないことだけでなく、不適切指導やこれまでの学校対応を知っています。最後まで、なかったことにしようとしたように思えて仕方がない。誰のミスかではなく、息子の名前がないことで、不安がる子がいるかもしれませんし、名前がない理由を書いた手紙を送ってほしい」

 ちなみに、学校側からは卒業アルバムだけでなく、卒業証書も卒業文集も手元に送られてきていない。

「アルバムのことで手一杯で、卒業証書も文集も忘れているのだと思います。息子の3年次の校長が当時のことをメモしていたのですが、市教委からは『私的なメモです。証拠にならない』と言われました。私は『不登校のことも、中学へ引き継ぎしてほしい』と伝えました。でも、学校や市教委は『引き継ぎ事項ではない』『重大なことだが、(いじめ防止対策推進法の)“重大事態”ではない』と言いました」

 校長は3月31日、同小学校を離任し、さらには退職となった。校長が市教委に卒業アルバムの件について、どのように伝えたのかは不明だ。果たして、退職前の校長と保護者との約束は守られるのだろうか。また、Aさんは中学校へ通うことができるのだろうか。