いじめや不登校について触れた作文の場合、学校側の指摘で修正された後に掲載されることがある。しかし、この作文は内容を変えさせることなく、そのまま掲載された。これが事実上の“説明”になった。
名前の掲載を求めると「落ち度はこちらにない」
母親は卒業前、アルバムや文集に関するやりとりを市教委としていた。
「アルバムや文集に関するやりとりは当初、市教委の担当者と何度かしていました。2021年12月23日になって、アルバムに関して、また好きな絵や言葉を載せる文集の個人ページの詳細を知らせるメールが届きました。しかし、締め切りが翌日の『24日』とあり、間に合うわけもなく、個人ページは諦めました。ただ、文集の作文は書き上げていたので、載せることができました。アルバムの件は伝えていますし、学校にも市教委に伝えていることをメールしています。このとき、学校は、市教委に確認することなく、名前の掲載を見送ったのでしょう」
校長や教頭からは、電話やメールで明確な返事はない。年度末でもあるためか、出張など多忙を理由に会う約束もできない。そのため、3月29日18時半過ぎ、母親は学校へ直接、出向いた。
「教頭からは『この日、校長は出張で帰ってこない。どこに行ったのかもわからない』と聞いていました。なかなか会えないために、学校に直接行きました。校舎は閉まっていました。それでも薄暗い中で待っていたんです。すると、車で校長と教頭が学校に戻ってきました。教頭は校長の居場所はわからないと言っていたのに、車で一緒に戻ってきました。居留守を使ったのではないでしょうか。
結論からいうと、学校側は『落ち度はこちらにない。母親がAさんの名前を載せてと学校側に言わなかった。たしかに、こちらも聞けばよかったが、不登校でしたので、聞けなかった。だから学校は刷り直しはしない』と言っていました。こちらの要望としては、『せめて、Aの名前が抜けていた理由を手紙で知らせてほしい』と伝えたんです。すると、『それは、学校側に落ち度があるみたいになるのでできない』との返答でした」
話し合いは校長室で行われ、3時間半にも及んだ。翌日、校長からメールが届く。
〈お母様にきちんと確認せず判断したこと、意図せずともそのことでAさんを傷つけてしまったこと、本当に申し訳ございません。つきましては、刷り直すことで、傷ついたAさんの心を元に戻すことはできないかもしれませんが、アルバムにAさんの名前を掲載すべく、刷り直しをしたいと考えております〉
つまり、配布したアルバムを一旦、回収して、該当箇所に名前を印刷するという方法を提案してきた。