昨年11月、公式ファンクラブの閉会を告知したAKB48。10年近く音楽産業を支配した日本的ビジネスモデルの終わりが囁かれるなか、今年の3月にはもう1つ象徴的な発表があった。HKT48やAKB48で一世を風靡した宮脇咲良(24)が、女性グループ「LE SSERAFIM」のメンバーとしていよいよ韓国での活動を再開するという知らせだ。

 宮脇は48グループでの活動を経て、2018年に韓国のオーディション番組「PRODUCE 48」に参加。入賞者で構成される女性グループIZ*ONEのメンバーに選ばれ、一度目の韓国デビューを果たす。IZ*ONEは昨年4月に活動を終了し、その後の動向が常に注目されていた。

 IZ*ONEは期間限定の企画だったことに加え、韓国のオーディション番組の八百長問題やコロナ禍の影響を受け真価を発揮する機会にも恵まれなかった。その意味で、宮脇にとっては今回が初の本格的な韓国デビューともいえる。

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宮脇咲良 ©時事通信社

 2011年に13歳でデビューした宮脇も、もう24歳。48グループなら“卒業” が囁かれかねない年齢だ。

 韓国の女性アイドルはデビュー時の平均年齢が日本より高く、HKT48やAKB48が14~16歳とされるのに対して、TWICEやaespaは18~19歳。Red VelvetやMAMAMOOなど20歳超の人気グループも珍しくないが、デビュー時に24歳だった例はわずかだ。韓国でも異例といえるギリギリの年齢だが、それだけにいっそう周囲の期待が窺える。

「日本へ戻ったとたん嫌韓?」の声も

 日本からK-popアイドルを目指す日本の若者たちには、いくつかの“壁”が存在する。高いレベルが求められる歌唱力やダンスはもちろん、韓国語の習得や韓国社会への順応も必要だ。そしてもう1つ大きいのが、国家間の政治的な関係性の影響だ。

宮脇咲良本人インスタグラムより

 今年3月には、宮脇の誕生日を祝うために中国人ファンがソウル地下鉄に出稿した広告に、韓国メディアの非難が集中する事件があった。デザインの一部が「旭日旗を連想させる」というのが理由だ。独立運動を記念する「三一節」と重なったこともあり、広告は3月19日の誕生日を待たずに撤去された。

 IZ*ONE解散にともなって帰国した2021年5月には、「日本へ戻ったとたん嫌韓?」(「韓国経済新聞」)と報じられたこともある。理由は同月に出演したHKT48のコンサートで、村重杏奈がオタクっぽい扮装でハングルのプラカードを持って宮脇を追いかけ回して警備員につまみ出される……という寸劇を披露したからだった。

 韓国ファンの間では批判一色というわけでもなかったが、メディアは手加減しない。