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2022/04/28

 人間の体というのは正直なものである。汚い話で甚だ恐縮だが、トイレで大をすると、ウンチの3分の2がオレンジ色、つまりにんじんであった。私は自分の肛門が畑になったのかと思った。実際トイレで叫んだ。「畑か!」と。自分の肛門に突っ込んだのは、あとにも先にも、この時だけである。いや、座薬とかを突っ込んだことはあるけど、今はそういうことじゃないじゃん。

 胃も腸もやられ、体全体もクリームシチュー臭くなり、それでもなんとか頑張って食べ続けたが、468杯目でタイムアップ。結果も出すことができなかった。こんなに報われない話は人魚姫以来である。「海砂利水魚」から始まって芸能生活30年、この仕事が一番しんどかったし、嫌だった仕事である。

©文藝春秋

クリームシチューから改名するとしたら

 そして、「くりぃむしちゅー」に改名して20年、一番困ることはというと、レストランでの注文である。私はこの5年、レストランでクリームシチューを頼んだことはないように思う。別にこの『いきなり!黄金伝説。』の時に食べ過ぎたからではない。お店で仮にクリームシチューを頼んだら、(プッ、くりぃむしちゅーは、やっぱりこういう時クリームシチューを頼むんだ?)と思われるのではないか、と考えると、たとえその店で一番食べたいものがクリームシチューでも、ほかのものを探して頼んでしまう。“クリームシチュー・イップス”である。クリームシチューだけではない。ビーフシチューも頼みづらい。仮にビーフシチューを頼んだら、(プッ、くりぃむしちゅーがあえてビーフシチュー頼むかね?)と思われるのではないか、と考えると......。“ビーフシチュー・イップス”でもある。

 この文章を書いていてふと思ったが、海砂利水魚で10年、くりぃむしちゅーで20年、よくよく考えてみると、海砂利水魚というコンビ名は、伊豆にあったカレー屋さん“海砂利水魚”からパクって付けられたもの。それから改名して“くりぃむしちゅー”に。看板メニューが、カレーからクリームシチューに替わっただけで、液体のドロドロした食べ物であることには変わりがない。じゃあ次に改名するとしたら、ビーフストロガノフはどうかな、と思っている。ん? でもそうするとビーフストロガノフも頼みづらくなるのかな? “ビーフストロガノフ・イップス”にもなるのかな?

【前編を読む】「ヒャーッ!」と引き笑いをする“お笑い怪獣”が… くりぃむしちゅー上田晋也が驚愕した明石家さんまからの“凄まじいアドバイス”

激変 めまぐるしく動いた30代のこと

上田晋也

ポプラ社

2022年4月13日 発売

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