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〈改名直後のTV出演〉くりぃむ上田が「後悔した」「本当に参った」と振り返る“一番しんどかった仕事”とは

『激変 めまぐるしく動いた30代のこと』より #2

2022/04/28
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 そしてもう一つは、「海砂利水魚」というコンビ名をずっと変えたい、と思っていたから。詳細はまた別の機会に譲るとするが、「海砂利水魚」というコンビ名は、芸能界に入ったばかりの頃の事務所の先輩「コント山口君と竹田君」の山口さんに半ば無理矢理付けられた名前で、何年にもわたって、何度も改名を直訴していた。デビュー当時なかなか人に覚えてもらえず、表記の間違いなども毎度のことだったし、漢字5文字で古臭い雰囲気がするし、「海砂利水魚」以外ならなんでもいい、とすら思っていたくらいだ。「ぷ」一文字でもいいと思っていた。だから私は、意外と清々しい気持ちでいたのだが、凹んでいる有田の手前、喜びの表情を見せるのも憚られるため、竹内力さんばりに眉根を寄せ、これは困ったぞ、の顔だけ作っていた。

新コンビ名を世に広めるため、伝説に挑戦

 早速次の日から、我々は「くりぃむしちゅー」として活動することになった。最初は自分たちでも「どうも、海砂利水魚です!」とそれまで慣れ親しんだ自己紹介をしたり、テレビ局の入り口で、「海砂利水魚の上田です」と名乗り、「えーと、海砂利水魚さんは今日こちらの届出には入ってないですねー。ただし、くりぃむしちゅーさんならありますけどね」とヤケに芝居がかった警備員さんに訂正されたり、と照れ臭さもあり、自分たちの中でもなかなか定着しなかった。

 私が「自分はくりぃむしちゅーなんだな」と強く意識した、完全に自家薬籠中の物にしたのは、あの仕事から、だろうか?

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 改名して10日後くらいだったかと思うが、『いきなり!黄金伝説。』から、新コンビ名を世に広めるため、伝説に挑戦しませんか、というオファーをいただいた。挑戦する内容は1週間でクリームシチューを500杯食べ切る、というもの。クリームシチュー以外の食べ物は1週間一切食べることができない。ただひたすらクリームシチューと水分のみ。

スタッフが違うテレビ局にも付いてくる

 改名したばかりで、顔と名前を広められるのであれば、交番に指名手配のポスターを貼られてもかまわない、くらいの時期。それがゴールデンの人気番組で長尺で放送してくれるとのこと。喜んでその仕事をやらせていただくことにしたが、3日目くらいには心から後悔した。“涙はそこからやって来る~♪”と聞いたことのある、心のずっと奥のほうから後悔した。いくら自分の好きな食べ物でも、3、4回続いたら、飽きるのではないだろうか? それが3日の時点で9回目。しかも朝から、あのヘビーなものを食べさせられる。そもそも私は東京に来てから、朝ご飯を食べない。にもかかわらず、毎朝どっしりしたものを食べさせられる。プチ拷問である。