どこもかしこも、「ふざけてる場合か!」
――では、最後に、今後はどんな取材を進めるかお聞かせください。
望月 私はテレビ局の元記者の暴行事件に関して「もみ消し疑惑」を訴えた詩織さんのことを取材しました。日本における性犯罪に関する司法の壁の高さと、性犯罪被害の受け入れ窓口の狭さを日に日に実感します。被害にあった方が声を上げやすいような仕組みに変えていくにはどうすればいいか、そのきっかけになるような取材と報道をしていきたいと思っています。
横田 僕は年明けに『週刊ポスト』である企業について連載を始める予定です。
望月 どこだどこだ(笑)。
横田 そこもひどい企業であるということは間違いないです。本当に、ふざけんなってことがいっぱい起こっている。
――横田さんはモチベーションの根っこに「ふざけんな」っていう精神がありますよね。
横田 いやあ、どこもかしこも、「ふざけてる場合か!」って感じですね。
望月 「ふざけんな」。いい言葉ですよね(笑)。私も横田さんの「ふざけんな」精神で、これからも新聞記者をやっていこうと思います!
構成=大山くまお
写真=三宅史郎/文藝春秋
横田増生(よこた・ますお)
1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、99年フリーランスに。著書に『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)、『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』(朝日文庫)、『中学受験』(岩波新書)、『ユニクロ帝国の光と影』(文春文庫)、『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)などがある。
望月衣塑子(もちづき・いそこ)
1975年東京都生まれ。東京新聞社会部記者。慶應義塾大学法学部卒業後、東京・中日新聞に入社。千葉・神奈川・埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。著書に防衛省取材をもとにした『武器輸出と日本企業』(角川新書)、『武器輸出大国ニッポンでいいのか』(共著・あけび書房)などがある。最新刊は『新聞記者』(角川新書)。