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JR西日本・指導車掌と検修員が語る「私たちの車両の流儀」

2017/12/18
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11年のキャリアを持つ検修員「古い車両は五感で判断できる」

 続いては、毎日たくさんの人が乗る車両を守る“車両検修員”。大井章裕さんは、大阪環状線の車両が配置されている森ノ宮電車区で検修員として11年のキャリアを持つ。基本的な仕事は数日に1度行われる仕業検査と数ヶ月に1度行う交番検査、そして突発的な不具合などへの対応だ。

“車両検修員”大井章裕さん

「不具合といってもそんなに年中あるわけではなくて、たいていは定期的な検査の中で対応できます。ただ、大阪環状線は103系のような古い車両も走っていたので、天井の劣化からゲリラ豪雨で客室に雨漏りすることもありました。その場合は排水口をふさいで水を張った状態にし、漏れてくる場所を探して修繕する。電車のモーターが一気に何台も故障したこともありました」

 103系は1969年に大阪環状線に投入されて以来主力として活躍し、今秋最後の編成が引退(奈良線など他線区ではまだ現役)した国鉄時代からの“名車両”のひとつ。古い車両ゆえに、メンテナンスでも苦労が耐えなかったようだ。

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「でもね、103系もそうだし201系もそうですが、古い車両は五感で判断できる部分が多くて好きなんですよね。音や臭い、見た目、そして触った時の感触……。新しい323系はそういう部分が少なくなっている。いわば機械というよりは電子機器。今まで扱ったこともないですし、デビューまもないので事例も少ない。これから特徴や対応法を掴んで、仲良くしていかないといけないですね(笑)」