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田中被告の現在「子供達の為だけに祈り続けたい」

「彼は嘘もつくし見栄も張る。でも正直な部分も持ち合わせている。彼は本当に子供が好きだったが、親の愛情を知らないままに育ち、愛し方がわからなかったのではないか。亡くなった子供のためにも刑務所の中で更生させたい」

 そして10月中旬、福岡拘置所で過ごす田中被告に面会した。

 面会後、しばらくして田中被告から手紙が来た。そこで田中被告は《(事件を起こした自分にも)1人じゃないと言ってもらえる人がいるんだと思うと本当に涙がでました。今は(差し入れの)聖書をむさぼるように読んでいます。子供達の為だけに祈り続けたいと思います》と綴られていたという。進藤牧師は「直接面会してなければ、(出来すぎた展開なので)私も疑ってしまいますよ」と笑う。

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田中被告の自宅 ©文藝春秋

 元ヤクザや受刑者といった荒くれ者たちが進藤牧師を頼る理由は、彼自身もかつて指定暴力団に所属していた“元ヤクザ”だからであろう。進藤牧師の左手の小指の第一関節より先はなく、自身も3度の服役を経験している異色の牧師なのだ。

 キリスト教の礼拝に限らず、進藤さんの壮絶な過去の実体験をベースにした講演も人気で、新型コロナウイルス禍に見舞われる前は全国各地の中学や高校、刑務所などで行われていた。アメリカやフィリピン、韓国など海外の刑務所などにも多く呼ばれていたという。

 オンライン礼拝後、進藤牧師がなぜクリスチャンに、更には牧師になり、元ヤクザや受刑者の更生への支援をするのか、話を聞いた。

本人のinstagramより

「遊びまくり、喧嘩しまくり」がなぜ牧師に?

 教会のある川口市で生まれた進藤牧師は、想像通りのやんちゃな少年期を過ごしたという。

「遊びまくり、喧嘩しまくり。ディスコも行きまくりました。高校は1年生の2学期で退学になりましたね。人を笑わせるのは好きで、お笑いの世界に行けたらなあ、とか漠然と考えていた時期もありました」

 しかし、進んだ道はヤクザの道。18歳ごろにスカウトされたことで門を叩いた。ヤクザの世界は肌に合っていたようだ。