身も心もヤクザに「ノミとトンカチを準備して指詰め」
進藤牧師の左手の小指は、この頃に詰めたという。
「酒酔い運転で事故って、組の車を大破させてしまったんですよね。当時、俺の喧嘩が組同士の抗争になったりもしていて、もう落とし前をつけるしかないと思って。ノミとトンカチは準備しましたが、なかなか自分ではできなくて。知人に介錯を頼みました」
自らの指詰めという決断をするほど、考え方も行動もヤクザに染まっていた。そしてまたも、覚醒剤が進藤牧師を蝕んでいく。
「2回の服役に懲りて、今後、覚醒剤は売るだけで自分は使わないと決めたはずだったのにやはり手を出してしまった。人間って本当に弱いんですよ」
覚醒剤依存の実態「シャブの快感は頭皮にまで達し…」
進藤牧師には著作も複数あり、そういった過去について赤裸々に明かしている。うち1冊から象徴的なシーンを抜粋しよう。
《目覚めるのはいつも夕方の4時ごろだった。寝ている間にシャブが切れ、寝起きはいつもだるかった。動きが鈍くなった体に力を入れ、ベッドからどうにか這い出ると、私はいつも内縁の妻に食事を用意させた。メシが済むと、今度はシャブと注射器がしまってある棚に手を伸ばした。食後のタバコと一緒で、満腹になるとすぐにシャブを打ちたくなった。起きてから1発目のシャブは本当によく効く。その快感を最大限得られるように、最初のシャブはいつも濃い目に作った。(中略)シャブを血管に打つと、血液の流れに乗って心臓のほうへ向かい、ボンという感じで心臓に入っていくのがわかる。その瞬間、さきほどまで感じていた体のだるさが一気に抜け、体が軽くなって活力がみなぎってくる。シャブの快感は頭皮にまで達し、頭の毛穴が開き、頭髪が逆立つような感覚が毎回全身を駆け巡った》(「人はかならず、やり直せる 前科7犯ヤクザだった牧師からのメッセージ」より)
このような生活が続くわけもなく、進藤牧師の人生は徐々に追い込まれていった――。
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