埼玉県川口市の教会「罪人の友 主イエス・キリスト教会」の進藤龍也牧師(50)は3回の服役経験のある元ヤクザという異色の経歴を持つ牧師だ。教会には、元ヤクザや受刑者など全国各地から荒くれ者たちが集まる。指がない人、刺青の入った人……。その他にも様々な「事情」を抱えた人たちが教会の門を叩いてくる。
どのような人でも来るもの拒まず、救いの手を差し伸べるのは進藤牧師。かつて彼は、18歳からヤクザの道を歩み、長く覚醒剤に依存していた。
「覚醒剤による2回の服役に懲りて、自分では使わないと決めたはずだったのにまた手を出してしまった。シャブ中はなかなか直るものではないんですよ。シャブをやっていると時間にルーズになり、信用もどんどんなくしていく。せっかく手にした組長代行の座をおろされてしまい、ふてくされた俺は組にも顔を出さなくなりました」
荒れた女性関係「愛人に背中から刺された」
拠り所をなくし、一匹狼として覚醒剤の売人を続けるようになったのは30歳の頃だ。
「知人と組んで売人をやっていましたが、組の肩書が無くなるとツケのお金を踏んづけられたり、やられたい放題でした。そして結局また逮捕されてしまいました。もうこんな生活から抜け出したいけど、ヤクザしかやったことがなくて、どうしようもない。そこで聖書に出会ったんです」
聖書を手渡してくれたのは、当時、内縁関係にあった女性だったという。
「当時は女性関係もひどかったんです。涼二(九州3児遺体事件で子供3人を死に至らしめた田中涼二被告)と完全に同じで、私も今のクリスチャンの妻は4人目です。それまでに3回、いずれも子供もできましたが、シャブが原因で別れています。別の愛人に思い切り背中から包丁で刺されたこともあります。薬にも女にもだらしない人生でした。
そんな私が、当時の内縁の妻から手渡された聖書に救われたんです。心を打ったのは『エゼキエル書33章11節』です」