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「エゼキエル書33章11節」で、預言者エゼキセルは民に向かって、悔い改めを促す神の言葉を投げかける。

《彼らに言いなさい。わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは悪人が死ぬのを喜ばない。むしろ、悪人がその道から立ち帰って生きることを喜ぶ。立ち帰れ、立ち帰れ、お前たちの悪しき道から。イスラエルの家よ、どうしてお前たちは死んでよいだろうか》

「どうしようもない俺でも、信じれば救われる」

「何度も何度もこの一節を読みました。マイナスの人生がこれからでもプラスになる。それが十字架なんです。棚ぼたじゃないですか。こんなどうしようもない俺でも、キリストを信じれば救われるんですから」

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 一見、軽く聞こえる言葉だが、進藤牧師は拘置所や刑務所で聖書の通信講座を受け、出所後に教会に住み込んだり、神学校に通ったり、聖書への理解を深めている。 

本人のinstagramより

「『聖なる今に見てろよ』です。これまでたくさんの人を不幸せにして、一生背負って行かなければいけない罪がたくさんあります。だから自分が救われたように、他の人にも救われる道があることを示したいんです」

 そうして35歳の頃、母親のスナックの一角で始めた「罪人の友 主イエス・キリスト教会」。名前にインパクトがありすぎたのか、当初はあまり人が寄り付かなかった。そんな中、力を入れ、今も継続しているのが「刑務所伝道」だ。

牧師になって始めたヤクザの知人への「営業」

「ずっとヤクザの世界にいたから、携帯の電話帳を見ても、組の事務所とかしか入っていなくて、そうゆう知人にしか『営業』をかけられなかったということもありますけどね(笑)。ヤクザ時代の知人に手紙を書くなどして伝道していたら、噂が噂を呼んで、全国各地の刑務所などから多くの手紙が届くようになったんですよ。

 刑務所内のある知人と手紙のやり取りをしていると、その人が刑務所内で俺のことを話し、別の人からも手紙が来る、という感じで各地の刑務所で噂が広まっていったようです」

進藤牧師 ©文藝春秋

 そのひとつひとつに進藤牧師は返事を書いてきた。近年は常に刑務所の受刑者ら20~30人と文通しており、中には死刑囚もいるという。刑務所などの矯正施設によっては、進藤牧師が更生したことについて語るインタビューも流されており、今や「国内の受刑者で知らない人はいない」という。そして出所者の支援も積極的に行っている。

「まずは教会の上に居住スペースがあるので住まいを提供しています。最初は飲み食いさせて、着るものをあげます。あとはお金の使い方も教えますね。俺自身がめちゃくちゃでしたから。クリスチャンになってほしいという“聖なる下心”はあるけど、まずは頼ってくれた人の更生を支援する目的です」