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 ぼくらが案内された場所は建物のいちばん奥の広い部屋でした。そこはジムの仕事場のようで、真ん中には幅が1・5メートル、長さが4メートルはありそうな、シンプルで余分な装飾のない木製のテーブルが置かれていました。

 外から見えていた屋根までとどく縦に細長い窓は、この部屋の突きあたりの壁にありました。その窓をはさむようにして、これまた屋根までとどきそうなほど高くまで、壁いちめんが本棚になっていて、画集や写真集らしき分厚(ぶあつ)い本がたくさん並んでいました。

 部屋の両脇にも窓がたくさんあって、右手の壁の窓からは小川沿いの景色がよく見えました。そういえば、玄関から入ってきてここに来るまでずっと、小川沿いの景色をごく自然に眺めることができました。建物の中にいるにもかかわらず、外の自然を身近に感じられるよう、よく練られたデザインが驚きでした。

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 ジムは、棚の引き出しからこのあたりの詳しい地形図を何枚か取り出して、真ん中の大きなテーブルの上に広げました。ぼくは記憶を頼りに、ハクトウワシの巣の位置をその地図の上に探しました。

「えっと、バスウッド湖からポーテッジを越えて……、ムース湖の最初の狭い水路……、確か、このあたりです」

「ああ、そこなら知ってる。マツの木の上にある巣だよね? ヒナはいたかい?」

「はい、いました。下から見上げて、頭の先がちょこっと見えました。けっこう大きくなっていたと思います」

 ジムはさらに、好奇心いっぱいの少年のように聞いてきました。

大竹さんとジム・ブランデンバーグ。(『そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ』より)

「ルーンの巣をみつけたんだっけ? それはどこ?」

「えっと、この島を過ぎて……、ポーテッジを一つ越えた……、この湖です。西の端です。湿地の草むらのなかにありました」

「へえ、その湖はあまり行ったことがないなあ……。子育てをするのに十分な魚がいるんだね。よくみつけたね」

「ええ、旅が終わってしまうのが嫌で……。ここでキャンプすることは計画していなかったんですけれど。ラッキーでした」

 なるほどというようにうなずきながら、ジムは地図をじっと眺めてつぶやきました。

「寄り道は、幸運をつかむためには、とても大切なことなんだ……」