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「間違いない、コイツが犯人だ」確信した“決め手”

 限りなく黒に近いグレーという感触を得たRINさんは、確証を得るべく一計を案じる。

 長女に「購入を検討している取引相手」を装ってもらって、「もっと別の角度からの写真を見せてほしい」とリクエストしたのである。出品者はすぐに写真を多数追加してきた。

 結果的にそれらの写真が「決め手」となった。

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「買った時にイエティのシールがついてきたんですが、嬉しかったので、それを嬉々として貼ったんですね。で、出品者が新たに追加した写真に、シールを貼ったはずの場所が写っていて、そこに剥がしたような跡があったんです。

クーラーボックスにはシールを貼っていた(RINさん提供)

 それから焚き火のときについた炭の跡とか、子どもたちがつけた傷だったり、見覚えのある特徴がことごとく一致しました。何とか綺麗にならないかゴシゴシやったので、汚れまでよく覚えていたんです」(RINさん)

 愛着をもってこのクーラーを使っていた持ち主だからこそ分かることである。

「間違いない、コイツが犯人だ」という確証を得たRINさんは、ここで初めて出品者にコメントをつけた。

〈エビ美味しかったですか?〉

 そう、盗まれたクーラーの中には、前日に食べきれず帰宅後に食べようと思っていた食材も入っていたのである。とりわけエビは楽しみにしていたという。

「もうぷりっぷりのエビだったんですよ(笑)。だから、それも悔しくて」(同前)

 すると間もなく、クーラーボックスが出品から削除された。

 ここに至って疑惑は確信に変わった。削除されても問題はなかった。RINさんは、犯人と思われるこの出品者が削除することを見越して、一連の投稿のスクリーンショットを撮っていたからだ。これで文句のつけようのない「証拠」が手に入ったのである。