今年2月に『ブラックボックス』で芥川賞を受賞した砂川文次さんが、「文藝春秋」6月号に緊急寄稿。
ウクライナ大使館に、義勇兵の参加要領を確認したいとのメールを送ったという衝撃の事実を明らかにした。
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〈その時、一体どういう心境だったのかは分からない。私は布団の中から、在日ウクライナ大使館のHPを開き、メールを送った。拙い英文で、参加要領を確認したいということ、簡易ながら自衛隊歴を記した〉
砂川さんは陸上自衛隊幹部候補生学校を卒業して入隊した元自衛官だ。在職時は対戦車ヘリコプター「AH-1S」のパイロットとして、北海道に駐屯していたという経歴の持ち主である。
その自衛隊経験をベースにした戦争小説「小隊」を2年前に発表。そのリアルな軍事描写が話題になった。
この小説はロシア軍が北海道・釧路に上陸するという設定で、いまのウクライナ侵攻を予見したかのような作品として、現在、大きな注目を集めている。
敵役として中国が想定されることが多いなか、ロシアの侵攻という設定にしたのは、シンクタンクの情報をもとに分析した結果と、砂川さんは語っている。
中国は観測気球はあげるけど対外行動に移すのは意外と少ない。
逆にロシアの方が対外的には強硬な行動を取っていて、冷戦後も頻繁にあるという印象です。非対称戦ではなく国家対国家の対称的な行動という点で、中国よりロシアの方が現実性は高いと個人的に感じています。(文春オンライン「砂川文次さんインタビュー」)
豊富な「軍隊経験」を持つ作家はロシアの危うさを見抜いていたのだ。