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2022/05/16

source : 週刊文春出版部

genre : ニュース, 社会, 政治, 国際, 経済, 読書

 たとえば、日本国内のAという地方銀行に口座を持っているB社が、ロシアからカニを輸入するとしましょう。ロシアのカニの販売業者に送金しなければなりません。そこでB社はA銀行に対して、ロシアの地方銀行に送金を依頼します。

 でも、A銀行はロシアの地方銀行に口座を持っていないので、まずは国際的な送金業務を担当している日本の大手のC銀行に、「ロシアの地方銀行に送金してくれ」と金を送ります。これが口座振替です。このやりとりは、日銀ネットという日本銀行のネットワークを使います。A銀行もC銀行も日銀に当座預金の口座があり、口座間でお金が移動します。

 次にC銀行は、ロシアの大手銀行に「送金するぞ」というメッセージをネットで送ります。このメッセージを伝える仕組みがSWIFTです。

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 C銀行はメッセージを送ると共に、ロシアの大手銀行に実際に送金します。もちろんB社は日本円で送金していますから、C銀行は日本円を、ドルに両替して振り込みます。

 この際、C銀行とロシアの大手銀行は、資金のやりとりができるように、あらかじめ契約していなければなりません。これを「コルレス契約」といいます。なんだか難しそうな名前ですが、「コレスポンデンス」(代理)の日本的略称です。

「金融制裁の核爆弾」と呼ばれるが

 こうしてロシアの大手銀行に振り込まれたドルは、ロシアのカニの販売業者が口座を持っている地方銀行に送られます。このとき、大手銀行はドルで受け取った金をルーブルに両替して送金します。こんな複雑な経路を通って、カニの販売業者に購入代金が振り込まれるのです。

 今回、ロシアに対して実施された経済制裁は、ロシアの最大手を除く大手七行の金融機関をSWIFTのネットワークから排除するというもの(その後、最大手も対象に追加)。そうなると、C銀行が「送金する」という情報をロシアの銀行に届けることができません。過去に戻ってFAXで送るしかないというわけですから、多くの取引がストップしてしまいます。

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