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自分になくて大地にあったもの…元広島・今村猛が明かす同級生・大瀬良大地という存在

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/27
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 今更言うのも恥ずかしいんですけど、大瀬良大地っていう選手像に憧れていた時期がありました。みんなが思い描いているような、野球が上手で、周りが見えていて、チームを引っ張っていく役割をちゃんとこなしている姿。近くで見ていて冷静に凄いなって思っていました。ずっとプレッシャーのかかる立場にいて、いろいろなものを背負わなければならないところで、ちゃんと応えてきていて。そういう選手に自分もなりたいなって。

 今でも12月~1月の自主トレ期間とか、若い投手陣が大地のメニューで練習しているんですけど、そこでついてきてくれる後輩たちがいて、その上で自分にも自分以外にも厳しくやれていて。自分だったら後輩への甘さとか出ちゃうだろうなって思いますよね。

「もし監督になったら絶対コーチで来させるからな」

 昨年12月に現役引退を直接伝える機会があって、「ご飯行こう」って誘ったんです。そんなしんみりした感じもなく「野球辞めるわー」って。あんまり暗い話にするわけにもいかないですし、いずれ辞める日はくるものなので、「じゃああとは頑張ってねー」くらいの感じで。大地も「自分が決めたんだったらそれでいいと思うよ」って言ってくれました。

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 3年くらい前から思うように投げられなくなって。ごまかしながらやれてた……のかはわからないですが、何をしても上手くいかなくて、気持ち悪いな、嫌だなって思うこともありました。でも、そんなときでもいつも変わらず大地は接してくれていましたし、自然とたくさん支えてもらっていたと思います。改めて感謝したいですね。

 そういえば、引退を伝えたときに大地が「もし監督になったら絶対コーチで来させるからな」って言ってくれたんです。彼はそういう人間なんですよね。でも、僕は「嫌だよ」って断りましたけど(笑)。

 自分は先に辞めてしまいましたが、そのぶん大地には1年でも長く野球をやってほしいですね。そして、プレースタイルもそうですけど、今まで通り変わらずに、変に着飾ったりとかせずにいて、これからもたくさん大瀬良大地に憧れる人を作ってもらいたいです。

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