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「背中の痛みで整形外科から痛み止めを処方された患者さんが実は…」 マンガ『処方箋上のアリア』の作者がすすめる“薬剤師との付き合い方”

三浦えりかさんインタビュー#2

2022/05/12
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葛󠄀や愛莉のモデルは…

――主人公の薬局長・麻生葛󠄀やその相棒・浜菱愛莉は薬局ではあまり見かけないタイプです。実在のモデルがいるのですか? 

三浦 実在ではありませんが、葛は、最初に考えていた本格サスペンスに、薬学生の主人公を助けるキャラとして登場する予定だった怪しい薬剤師がモデルです。そのキャラクターが気に入っていたので、薬剤師を主人公にするなら彼を使おうと決め、そこからさらに「変な」キャラクターにしていきました。

「クセのある奴」と思って描いたのに、「葛󠄀かっこいい」と言っていただくことが多いので、少女マンガ時代、イケメンを描くのを一生懸命練習した経験がここで報われた感じです。普段自分のまわりにいるような薬剤師をそのまま描くと、日常の延長で自分が楽しめないので、口が悪くて無愛想だけど知識量がものすごい、というキャラクターに仕上げました。

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 愛莉は、そんな葛󠄀に物怖じしないような天然な子にしようと考えていったら、あんなキャラクターになっていました。ちなみに、少女マンガ時代の私の作品の主人公は、ほぼ全部愛莉の顔です。一番描きやすいので、愛着もあります。

「愛莉とノリが似ている」と言われますが超心外です!

――キャラクターに三浦さんご自身が反映されている部分はありますか?

三浦 家族や友人たちからは愛莉とノリが似ていると言われますが、超心外です。まったく似ていないですよ! マンガのキャラクターって、よく作者と重ねられたりするんですが、別物なんです。

 でも、愛莉がチラシに描いているネコは、私が薬剤師時代に実際、「糖尿病教室」のポスターに描いていたキャラクターです。自信作だったのにそれを見た医師から「これはブタですか?」と聞かれ、傷付いたことを思い出しながら描きました……。それだけですね。性格的には、愛莉と似ているところはまったくないです(笑)!

愛莉がチラシに描いた「猫」? (第1巻第2話より)

――葛󠄀と愛莉の関係も気になるところです。今後2人がどうなっていくのかは、もう考えているのですか?

三浦 このあと起こる出来事についてはある程度考えています。でも、その時に2人がどんなふうに動くかは、実際に描いてみないとわからない、というのが正直なところです。

 というのも、連載開始当初は、葛󠄀がビシッと解決して愛莉が少しずつ成長していく、という設定で考えていたのですが、勝手にキャラクターがしゃべり出し、だんだん葛󠄀と愛莉がお互いに助け合うような展開に変わってきているんです。いまはそこに、葛󠄀の後輩で病院勤務の真弓も加わって関係性がさらに変わってきているので、今後どうなるかは私にも想像がつかない、という感じです。

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