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励みになる「人間ドラマを読みたい読者」

――2人の関係が少しずつ縮まっていくのを楽しみにされている読者の方も多いと思いますが、これまでに反響が大きかったのはどんなエピソードですか?

三浦 ダントツで、第2巻第8話の消毒薬のエピソード回です。消毒薬の濃度や、接触時間などはコロナ禍で気にされている方が多かったということもあり、かなりの反響がありました。「今使える知識」を求めている読者が多いんだなと思いました。

――製薬会社に対して、空間除菌剤に合理的な根拠がないと消費者庁が措置命令を出した事例もありました。消毒薬を空間に噴霧することが人体の健康を損なう場合があることは、あまり知られていません。こうした薬の知識を目的に読んでいる読者の声もありますか。

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三浦 はい。薬のことが知りたくて読んでくださるという方は多いですね。でもそれ以上に、人間ドラマを読みたくて読んでくださる方も多いんです。

 第1巻の第4話で認知症のエピソードを描いたんですが、この回までは「薬剤師が主役」といいながら、薬剤師に興味を持つ人はいるのかと半信半疑なところがありました。でもこの回の反響で、薬剤師の人間ドラマを楽しみに読んでくださる読者が多いということを知り、励みと自信になりました。

「一体何に、困っている?」

――本作を読んで、薬剤師はただ薬を渡すだけの人じゃないと知った読者も多かったと思います。第1巻の第1話で来店した患者さんに、葛󠄀が「一体何に、困っている?」という聞き方をしたことで、患者さんが話してくれるシーンがあります。

1巻第1話より

三浦 調剤薬局勤務時代に、背中の痛みで整形外科を受診された患者さんが痛み止めの処方箋を持ってきたことがありました。レントゲンを撮っても異常がなく、原因はわからないと言われたと話していたのですが、肌が赤いような気がするとおっしゃっていたので、色々症状をお聞きし、帯状疱疹の可能性もあるとお伝えしました。

 もし帯状疱疹だったらすぐに治療することが大切で、遅れると後遺症が出る場合があるので、「今すぐ皮膚科に行けますか」と聞いたら、「じゃあ行ってみる」と言って、その後帯状疱疹の薬の処方箋を持ってきてくれた時は、お役に立てたと嬉しかったですね。

 医師も、専門外の病気にはそれほど詳しくないという場合もあります。セカンドオピニオンのつもりで、第三者である薬局の薬剤師にもっと気軽に相談していただけたら、この患者さんのようにお役に立てるケースがきっとたくさんあると思います。